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Room2全景
ウエスタン・エレクトリックの部屋
The room of Western Electric Sound
『ウエスタン』ウエスタンと最近『ウエスタン・エレクトリック」の話題が五月蝿くなっていますが昔はウ
 エスタンのことを書く人は数人しかいませんでした。
 池田 圭さん、伊藤 喜多男さんが『ウエスタン・エレクトリック』の最初の紹介者ではないかと思います。
 情報が無い中、いろいろな迷信、作り話が独歩していましたが、最近はインターネットのお陰で資料
 を入手しやすくなり又ステレオ・サウンド社が熱心に紹介してくれています。現在「西方の電気の音」
 の第一人者は『新 忠篤』さんです。
 私のホーム頁にも「ウエスタン・エレクトリック・サウンド」をオーディオの趣味の一部としてUPしてい
 ますがアマチュアの頁なのでいろいろな本から抜粋して説明しています。
詳しいことは本を入手して読んでください。

Western Electric Sound System
The Voice of Action
   Western Electric の世界(無線と実験 1982年7月号 HiFi の原点!! ウエスタン・エレクトリックより)
ウエスタンスピーカーの謎を解明! 対談:八島 誠 ★ 木下正三
 「ウエスタン伝説の発生」

♪ ウエスタン伝説といいますか、スピーカーにしても何かしら謎めいた部分があるわけですが、この
 ことに関し、どのようにお考えですか。
八島 我々のような戦前派は劇場で音を聞いたわけですよね。この音が、自宅の高級システムとは
 桁外れの良い音がしていたわけですとね。それで当時のマニアはウエスタン、ウエスタンと大騒ぎ
 をしていたわけですが、製品を見せることもしなければ、売る事もしない。ただ我々は劇場のカーテ
 ンの裏から出てくる音だけで想像するより他になかったわけですよね。パーツも売ることもしなかっ
 たわけですから、故障してもわるい部分は返却しなければならない。ということで現物を見た人はま
 ずいませんでした。こういう事から伝説めいたものが出てきたのではないかと思います。
木下 当時から、そのような神話めいたものがあったのですか。
八島 そうです。音はすれども姿は見えぬ、といいますか、物を見ることが出来なかったんですよね。
 ですから調べようもないし、配線図もない、ある限られた人しか物を見ることが出来なかったんです
 ね。ですから劇場であるシステムを入れたとしますね、そうするとマニュアルが一冊ついてくるんで
 すが、そこには使い方しか書いてないんですよね。いわゆるトラブルチャートみたいなものは付いて
 こないんですよね。しかも内部に手を入れると罰金を取られるんです。その代わり何時でも完璧な
 状態でいられるように、リース時の条件の一つとして保障しているんですね。逆に音が鳴っている
 最中に機械がストップしてしまったという時には何時間か以内に元に戻らない時にはウエスタンが
 ペナルティーを払うということになっていました。それだけクオリティーの維持には気を使っていたん
 ですね。これらのことからウエスタンの伝説めいたものが生まれたのだと思います。ウエスタンの幻
 の代表としては、597というトゥイーターがあるんですが・・・・・・・。
木下 これはいわゆるボストウィックと呼ばれているものですね。
八島 そうです。これはいわゆる設計者の名前ですね。ウエスタンのシステムがだんだんワイドレン
 ジになってきまして、当時は30Hzから10000Hz迄をワイドレンジと言っていたのですが、555では
 どんなに上手に組み合わせても10000Hz迄再々は出来ませんでした。そこで597を付けて3Way化
 を促進したのですが、当時597の値段が相当高く、ウエスタンとしては597を付けるだけの予算のな
 い時には、救済処置として555の振動板に沿って1mm程の隙間をあけて蓋をし、背圧を高め、これ
 により高域を延ばすことを考えだしました。これによりかなりワイドレンジ化が可能となったのです。
 また597を付けても当時の人たちにはチリチリッといった雑音のようにしか聞こえず、超高域アレル
 ギーといいますか、いわゆる良い音としては認められなかったわけです。そういうこともあり、せっか
 く取り付けても全て取り外してアメリカへもっていってしまいました。そこで幻のスピーカーと呼ばれ
 るようになったのです。
木下 これは日本だけのことですか。
八島 そうです。日本だけのことなんですが、要するの絶対数が少ないということです。アメリカでは
 幻とは呼ばれていませんでした。日本だけの呼ばれ方ですね。我々がウエスタン・スピーカーに興
 味を持っているのは戦前モデルですね。戦前のモデルといいますと、まず100%フィールドタイプで
 す。ウエスタンとしてはパーマネントモデルには相当抵抗があったと思います。どういうところに抵抗
 があったかと言いますと、ウエスタン製品は全てリースであるということ、それで初期特性を出来る
 だけ長く保たせようとすると、世の中のパーマネント型スピーカーでは不可能なんですね。
 ウエスタンの技術者も私にいってたんですが、世の中にパーマネントがマグレットというものは無い
 よというわけですね。ギャップの中に交流を流しますと、だんだんと磁力が弱くなっていくんですね。
 ですから当時から優れたパーマネント型スピーカーがあったにもかかわらず、ウエスタンとしてはフ
 ィールド型にしたというわけです。スピーカーの規格といいましてもフィールドがどういう規格になっ
 ているか、また電源がついているかどうか、またどのような物であるか等というものしかなく、我々
 が欲しい許容入力は何Wとか、能率は何dbあるのかといった規格は、戦前のモデルにはこの種の
 規格の発表は一切無いんです。ということはウエスタンのスピーカーが使われる目的というのはシ
 ステムの一部としてみているからなのです。スピーカー単体を売るのではないんですから、データ
 ーを発表する必要はないというわけです。戦後モデルといいますと、1945年からのモデルですが、
 その後FM局向けにスピーカーをたくさん作って売ってたんです。この時に始めて周波数特性とか
 許容入力等、今日のデータに見られるのと同じ様な規格を発表したんです。ただしスピーカーの能
 率の関してはウエスタンは30フィートの距離で測定しているんです。この時の能率が100dですか
 ら、いかに高能率かがわかると思います。
木下 30フィートで100dbですか。
八島 明らかに、そういうデータを発表しているわけです。ただ私達が今、問題にしているのは戦前
 型モデルでして、このシリーズに関しては先ほど言いましたようにリースが目的ですからデータを発
 表する必要か無いんです。そういう意味でデータは無いんですが、0.25W の出力で朗朗とスピーカ
 ーが鳴るということは、いかに能率が高いかがよくわかっていただけたかと思います。ところで実際
 に測定していただいて594の能率はどの位ありましたか。
木下 1m/Wに換算しますと、110db位だと思いましたが・・・・・・。
八島 そうですか。そういうデータが出れば、それを信用せざるを得ませんが、実際には聴感状の能
 率はもっと良いはずです。こういう言い方をしますと、本誌には相応しくない発言になってしまいます
 が、先ほど、聞いてもらいましたように、0.25W出力のアンプで、何故あれだけ鳴るのか不思議なん
 ですよね。ウエスタンスピーカーのデータに関して私は世界で一番持っていますが、戦前のスピー
 カーの詳しいデータは一切無いですね。私自身も一番興味あるデータなんで、あらゆるものを探し
 たんですが、無いですね。
木下 ウエスタンエレクトリックが当時果たした功績にはどんなものがあったのでしょうか。
八島 大正3年といいますから、1914年ですね。この年にベル研究所が電話、中継器等の附対設備、
 増幅器等を受けもつ処としてウエスタンエレクトリックがあったわけです。ウエスタンエレクトリックの
 母体がベル研だったわけです。いわゆるこの年頃からウエスタンの役割がはっきりしてきたのです。
 オーディオのほかに高周波関係にも業務を拡げていきました。この頃、機械式吹き込みのレコード
 を再生して、大勢の人に聞かせるシステムは無かったわけです。この頃の蓄音機というものは個人
 を対象とした物しか無かったわけですね。ですから大勢の人に聞かせるためには音を大きくしなけ
 ればならないわけです。そこでウエスタンとしてはどうしたかというと、蓄音機から出る音をマイクロ
 フォンで拾って、おそらく0.5W位の出力のアンプと高能率ドライバーと巨大なホーンに取り付けて聞
 かせたのが、いわゆるファブリック・アドレス(PA)の始まりではないかと思うんです。これが1924年
 頃のことです。その後トーキーの吹き込みと再生を手がけるのですが、この時、新たなセクションと
 して作ったのがエレクトロリサーチ(ERPI)なんです。このエレクトロリサーチが機械を作り、商品化し
 たのがウエスタンエレクトリッイクなんです。この当時どんなに生産しても需要に追いつかず日夜フ
 ル生産していたんです。この頃大反響を起こしたのが有名な“ジャズシンガー”なんですね。その後、
 アメリカは経済大恐慌になり、さしものウエスタンもこの影響をもろにかぶるのですが、その時17000
 人ぐらいの社員を今の言葉でいうレイオフォしたわけです。それでそれらの人達から職を無くすわけ
 にはいかないので、家庭用の家具を作ったり、用品を作ったりしていましたね。私の知っている物で
 はストーブ(オーブン)もありました。ミシンも作れば、フライパンまでも作っていました。しかし、この
 ような状況時でもエレクトロリサーチはフル操業だったといわれています。一般には余り知られてい
 ないのですが、ウエスタンがフライパンを作っていたのは、後にも先にもこの時だけです。
木下 短期間だけだったんですか。
八島 そうです。ほんとの短期間だけでした。社員を首にしないためにですね。この頃は毎年ウエス
 タンの大きな収入源であった電話機の売り上げが大きく落ち込んではいたのですが、なんとか不
 況を乗り越えたんですが、ここで関心するのはウエスタンの製品は絶対に売らなかったわけですね。
 全てリースでした。このリースであるというのがウエスタンの大きなポリシーで、売り物は作らない、
 と徹底していました。ただしウエスタン製品を借りる時の料金は相当高かったらしいですね。
 それにもかかわらずハリウッドは全てトーキーシステムに成りましたよね。それだけノウハウを持っ
 ているという事だと思います。
 『555と555Wの違いについて』
木下 555と555Wはどのように違うんですか。
八島 1929年にノースカロライナ州に工場を移したんですが、同じ人間が同じ型を使って作ったのが
 555でしてイリノイ州で作った物が555Wとなっています。
木下 そうしますとWの付いている物のほうが古い製品ということになりますね。
八島 そうです。ウエスタンの発表によると555も555Wも全く同じであるといっています。これはです
 ね、真空管でも同じことが言えまして300Bと300Aとの関係ですが、これも全く同じ物でして、300A
 が作られたのが古いだけであって、300Bとの違いはありません。
木下 555を分解してみますと振動板はごく普通のアルミのように見えたんですが、資料では材料名
 について何か書いてあるのでしょうか。
八島 資料によりますとジュラルミンの振動板となっています。
木下 594ですと振動板の色が全く違いますが、こちらの材質は何ですか。
八島 これもジュラルミンです。ただジュラルミンといってもピンからキリまでありますし、加工方法にも
 ノウハウがありますから、ウエスタンならではの仕上がりになっています。見た目も美しいですよね。
 特にサビが出てないのには感心しますね。ただ555は物によってはサビが出るのもあります。何故か。
木下 私が見た限りでは594のダイアフラムにはアルマイト処理がしてあるように見えたのですが、
 いかがでしょう。
八島 ウエスタンはこれに関して一切発表していません。
 『エッジワイズ巻きボイスコイルの元祖はウエスタン』
木下 ボイスコイルを見て驚いたのですが、現代の最高級ドライバー等に使われているコイルの材質、
 形状が当時すでにあったというのには少なからずびっくりしました。アルミ線でエッジワイズ巻きにな
 っているんですがアルミ線の絶縁皮膜はアルマイトなんでしょうか。それともエナメル系のものなん
 ですか。
八島 さあっー。絶縁皮膜についてはよくわかりませんが、ウエスタンはよくエナメルは使っています
 がコイルについてはわかりません。
木下 エッジワイズ巻きというのはJ.B.ランシングが始めて開発したと伝えられていますが・・・・・。
八島 ウエスタンが最初です。
木下 ウエスタンの誰が開発したかということはご存知ですか。
八島 いやっー。名前まではわかりませんね。
 『555ドライバーについて』
八島 日本だけに限らずアメリカでも555もどきのスピーカーが沢山出てきましたが、まず何処から模
 倣するかというと、外形をそっくりに作りますね。しかし材質のクオリティーが全く違うんです。
 ウエスタンの資料にはただキャストアイアンとしか書いてないのですが、キャストアイアンでは一番
 よい物は純鉄に近いものですよね。この純度の高い物を使っているというのがウエスタンの良さな
 んですね。ちなみに他メーカーではこの純鉄の段階で皆つまずいています。
 高度な純鉄を作るには難しいのです。
木下 一部にはパーメンジュールを使っていると、よく聞くんですが、たまたまバート・ロカンシーに直
 接聞いた話では、アイアンだと言っていました。日本ではパーメンジュールだと思っている人が多い
 のですが。
八島 なにを根拠にパーメンジュールと言うのか、私には良くわかりませんが、ここいらからも幻や伝
 説めいたものが生まれてくるのかも知れません。いくら研究しても同じ鉄が作れないので、パーメン
 ジュールだと思ったりするんでしょうね。
 『ウエスタンの特性について』
木下 ウエスタンを測定してみてインピーダンスカーブがフラットに出てきたんです。ちょっと信じられ
 ないんです。
八島 そうですか。公称16Ωです。
木下 直流抵抗を測ってみても15Ω近いですね。大きな値と言えます。普通の16オームのホーン形
 スピーカーの直流抵抗はだいたい10Ω前後なんです。ここら辺にも秘密がありそうですね。私自身
 の経験として現在TADブランドのプロ用スピーカーを何種類か作っているのですが、これを開発す
 る時に1934年のウエスタンの文献をいくつか読ませてもらったのですが、当時の理論を現時点に
 当てはめてもまったく過不足ないもので、これに現在の素材技術と加工技術をドッキングさせれば、
 セオリーは同じでも現代最高のものが作れると思うんです。
八島 そうです。そのとうりだと思います。私はね、現在の技術を持ってすれば最高のものが出来る
 と思っていますし、出来ない方が不思議だとさえ思っています。
     Western Electricと真空管の歴史
 
(無線と実験 1982年7月号 HiFi の原点!! ウエスタン・エレクトリックより
                         ★安西勝太郎★
 
ウエスタン・エレクトリック(Western Electric Manufacturing Company=以下WEと省略)は、すで
 に100年以上の歴史をもち、今までに数限りないアンプを世に出し、今マニアの間で現用になってい
 るものも多いようです。また、WEの真空管を使ったアンプの記事が本誌上をにぎわすほどの人気が
 あります(私自身もそのひとりですが・・)
 WEの歴史を網羅するにはページ数が足りませんので、今回は創世記から1930年ごろまでの真空
 管にまつわる話をすすめてみましょう。 ATT(American Telephone Teiegram)、WEの過去から現
 在に至る成長、経営のあり方およびオーディオとのつながりの一端をご理解いただけたら幸いです。
WEの歴史100年
 WE社の前身は、100年にわたり事業を行なっており、1882年以来、アメリカ・クリーブランドで、グレ
 イ・バートン社として開業され、その創業者は発明の才能優れた大学教授エリッシャー・グレイとそ
 れ以前ウエスターン・ユニオン社の電信会社の副社長アンソン・スティガー将軍でした。最初わずか
 な資金でスタートした彼らの事業成功の要素はなにでしょう・・・・・・。創造力、活力、決断力ならび
 により良いサービスの提供があると確信し、まずはクリーブランドで事業を開始し、後にシカゴに移
 転、電信機器や電気器具の製造と修理を行い、堅実な会信という信用を確立することを当面の目
 標として出発しました。 まもなく、その仕事の質が良くサービスが完全だと信用を得て、企業から
 の注文がしだいに増し、1872年までにこの商会は、30万ドルのウェスタン・エレクトリック製造会社
 に成長しました。1876年、電話が発明されてからは、WEは新しい機器を競合製造する6社のひとつ
 となり、そのわずか5年後にベル会社は規格統一をして標準化された機器を確実に供給する製造
 業者が必要であると判断し、早くも1882年にはWE製造会社の経営権をにぎり、さらにすすんでウエ
 スタン・エレクトリック会社としました。製品のデザインの品質とが優秀であり、従業員がお客に最高
 のサービスを提供しているということを、この商会ははっきり証明しました。
 WEはベル・システムの製造部門となり、ともに発展を続けました。 1898年(明治30年)に、WEは早
 くも日本に進出し、外資提携会社の第1号として、現在の日本電気(NEC)の設立に力を貸していま
 す。85年も昔のことです。 WEのトレードマークとNECのそれが、兄弟のように似ているのも、この
 間の歴史の一端を示しています。このころ、日本では明治時代の始まりで、明治2年(1869年)東京
 ー横浜間電信開始、明治5年(1872年)新橋ー横浜間鉄道開通、明治10年(1977年)西南の役 
 東京ー横浜間電話開通 という状況でした。1876年びアメリカで発明されたばかりの電話が、もう
 日本で開通とは大変なことです。電話は、1876年のアレキサンダー・グラハム・ベルの発明以来、
 急速に発達し「ベル・システム」方式により、さらに通信量、信頼性が大きく向上し今日に至ってい
 ます。 ベル・システム(Bell Sysyem)の基本構造は、電話を世界中の人達に経済的に、また安心
 して使ってもらうためにシステムを研究、供給、運用という3分割とし、各社一体となって協力し事業
 の発展を図るというシステムです。研究は、ベル・テレホン・ラボラトリーが当り、提供(機器の製造)
 はWE、運用(まとめ)はATTが受けもつという具合です。
ATTのこと 

 ATT方式とは、地上最大の企業といわれるATT(アメリカ電話電信会社)の経営方式のことで、ベル
 ・システムとも呼ばれています。 ATTは、全米に22ある地域会社とベル電話研究所、通信機メー
 カーのウエスタン・エレクトリックなどの上に君臨する持ち株会社で、グループ企業の従業員は100
 万人を超えています。 そして、長距離通信を担う基幹回路網を直接管理し、地域子会社がそれぞ
 れの地域内で通信サービスなどを行う仕組みになっています。 また、各子会社に対し通信機器の
 提供や資金面を含めた経営上の援助をする代わりに、各子会社から収入の1.5%〜2.5%を受けと
 って成り立っています。22の地域会社は、電話料金、サービス面などで互いに競合するので、いわ
 ゆる競争原理が働き、企業活動、サービスは常に向上するというわけです。
真空管の成長とWE社 

 1992年、イギリスのフレミングが2極真空管を発明し、ダイオード名付けました。また、1906年には
 ド・フォレが3極真空管を発明して、その増幅作用を利用したシングルのオーディオ・アンプを発表し
 ました。彼は真空管の改良、研究とともに各種サーキットも開発して、1912年にはマルチステージ
 のトライオード使用のカスケード・アンプへと発展させました。これが真空管アンプのオリジナルとい
 えましょう。 このド・フォレの真空管をいち早く生産に移したのはWEですが、1915年には、バージ
 ニア・アーリントンで大陸横断電話回線の実験が行われており、ここですでに550本の真空管が使
 われたといわれています。 また、 この前年の1914年(大正3年)に、日本海軍は苦心の末、ATT
 製真空管を入手した・・・・・とあります。しかし、これらの実験の製造はWEという公算は大です。
 同じく1915年にはATT・WE真空管式無線電話装置により、アメリカーフランス間の通信成功とあり
 ます。 1917年には、電話局のレピーターに今日の直熱型3極管と同じハシゴ型グリッド電極構造を
 した真空管が使用されております。 1917年、WEはVT-1、2という2種類の直熱型3極管をアメリカ
 ・シグナル・コーポレーション向けに作りました。 VT-1は受信用万能検波増幅管で、ラジオの初期
 にRCAが作ったUV-201型の原型といえるものです。VT-2は送信用の5W級発振・変調管で、オー
 ディオ・アンプのパワー・ステージにも利用されました。これがパワー管の初めといえるようです。
 1919年、WEはさらに大出力のパワー管、50Wの大型送信管型WE-211を発表しました。また、受信
 用として乾電池でも使用できるエコノミーな小型管WE-215というピーナツチューブを作りました。
 そして、翌年には一般民生用真空管の量産も始めました。しかし、一般商品の発売はRCAが先行し、
 1919年にWEのVT-1に似た定格をもつUV-200および201を発表しております。
 この真空管の製造元はGE(ジェネラルエレクトリック社)でした。 1920年、アメリカのH・アーノルド
 が酸化物陰極を実用化し、電子放射線量は、従来のタングステンに比し向上しました(現在の通常
 の受信真空管の陰極と原理的にはほぼ同一)。 また、アメリカWEによるKDKA局より、世界最初の
 ラジオの正式放送が開始されるなどに伴い、送・受信用真空管に対して質量とも大きな期待がされ
 るようになりました。 1912、I・ラングミュアによって発明されたトリエーテッド・タングステン・フィラメ
 ント使用の高品質真空管199・201Aの製造が開始されました。 これらの真空簡に対する基本技術
 は徐々に開発され、現在の真空管の原型がほぼ出来上がりかけてきました。 1924年(大正13年
 )オランダ・フィリップ社は傍熱型酸化物陰極受信管の製造を開始し、日本では東京電気がトリエー
 テッド・タングステンフィラメントの199・201を発表し、またと東京・名古屋ではラジオの本放送が開
 始されました。その開始とともに日本では最初のラジオ関係の雑誌『無線と実験」が創刊されたの
 です。
ヒーター、フィラメントの構造

 真空管の陰極は構造によって直熱管型と傍熱管型とがあり、直熱管型の陰極はフィラメントといい、
 傍熱管型のそれは別に設けた加熱体の輻射により陰極を加熱し、この加熱体をヒーターといいます。
 また、現在使用されいる陰極は主として次の種類です。 (a) タングステン・フィラメント:所要の放
 射電流(エミッション)を得るためには動作温度を高く (約2,500K°)する必要があり、それに従い
 加熱電力が大きくなるので、最近では保守用や特殊用以外にはあまり使われません。
 (b) トリウムタングステン・フィラメント:タングステンに1〜2%の酸化トリウムを混入したもので、
 表面をある程度炭化してあり、還元されたトリウム原子がタングステンより低い温度(約2,000K°)
 でかなり良好な電子放射が得られるために、送信管では最も使用されています。 (c) 酸化物塗
 布陰極(カソード等):通常、ニッケルを基本金属としてその上に、酸化バリウム、酸化ストロンチウ
 ム等の酸化物を塗布したものです。その還元された金属原子により、良好な電子放射が得られ、
 動作温度はトリウムタングステン・フィラメントよりさらに低い(約100℃)ものです。しかし、傍熱型の
 ものでは加熱体となるヒーターは通常、タングステンや合金が用いられます。
 さて、WEの歴史はそのままが優れた高信頼の通信用真空管の開発・製造・応用の歴史といえます。
 WEのオーディオ用バルブのほとんどは電話のサービス網の拡大とともに、伝送系に使用する目的
 で開発・製造されてきました。 1930年代に入り映画産業の発展に伴い、世界最高といわれるウエ
 スタンーン・トーキー・システム(映画発生装置の開発製造業)まで手がけ、オーディオ用直熱3極
 出力管のWE-300A(B)やビーム型出力管のWE-350A(B)など、歴史に残る名出力管が生まれて
 きました。この間、特記すべきオーディオ管は、電話用として開発され最も多量に使用されたという
 #100シリーズのオーディオ管のことです。

WE #100シリーズの真空管
 
WE#100シリーズは、電話用に真空管が始めて実用化されたころに端を発し、ほぼ半世紀にわた
 って多数使用され、現在でも一部分の海底電線のケーブル中継基地で、また搬送式通信装置、電
 話用通信能力測定などを含めこれほど大量に使用された例は他にありません。 WEが開発した#
 100シリーズは、真空管界の最大の「功績者」としてエレクトロニクスの歴史に残るでしょう。
 このシリーズのバルブは定格内で使用した場合、持久時間も数万時間におよびイニシャル性能を長
 期間保持します。 WE-100シリーズは3大別でき、万能管ともいうべきWE-101D、高μ検波増幅用
 WE-102D、さらにオーディオパワーチューブWE-104があります。ともに直熱3極管として真空管の
 教科書どうりの基本構造で、ウエスタン3極管の原型ともいうべき、2枚の平行したプレート、M型、
 V型に張られた酸化皮膜(オキサイド)フィラメントおよび梯子形格子のグリットの板極管です。
 プループは丸く、排気孔は上部でシールされています。ソケットはWE-100L型で(通称スモールUVタ
 イプ)で、ベースのバイヨネット・ピンで固定されます。この形状はタマ→ナス管→ドーム・トップのS
 T管に変更されましたが、規格・性能などは全く変えられておりません。 Dタイプは後にフィラメント
 定格を改め、Fタイプ(4.5V、1Aで4.5Wを4.0V、0.5Aの2W)と省エネルギー化して、この時点から特
 有の逆形フィラメントになり、プレートも板極からアンドン型へと移行します。この逆3V型フィラメント
 の真空管の代表としてVT-25が上げられます。以上のようにWEは、真空管材料の研究を続け、成
 長していきました。

真空管のプロポーション
 
この当時はまだ欧米各社とも真空管の規格・プロポーション等も、十分に共通化(標準化)されてお
 らず、各社各様でした。 WE-100シリーズの系列として当時の日本では、1928年(昭和3年)に日
 本電気K.K.(NEC)が下術提携を結び、WE-100シリーズと同じ型番の真空管の中継用101Dと102D
 を製造し、この技術を基礎とし各種の通信用真空管を製造しました。同じくイギリスのETC社では、
 WE-101D・102D・104Dのオリジナルから、改造したSTC4101G・4102G・4104Gシリーズを電話用
 に製造しました。また、WE-101Fタイプを更に小型化した。STC4019A・4020A(120改)シリーズも
 作られました。これらは広い意味で、いずれも101のファミリーといえましょう。

高性能WEの光電管
 トーキー映画のフィルムの“音”再生には光電管をはじめ周辺機器の基本性能が品位を決定します。
 WEでは、このトーキーの開始と同時にすでに世界最高といわれる光電管も開発しており、これによ
 り名声を更に高めました(光電管は光の入力エネルギーの変化を電気的の変化に変換するバルブ
 です)。35mmのトーキーフィルムのサウンドトラックの占める幅は約2.5mm、録音方式は通常(黒色)
 密度の変化や面積変化の2方式ありますが、いずれにしても、サウンド・トラックの流れにより録音
 (録画)された光エネルギーの変化を、光電管により電気的シグナルの変換させ、このオーディオシ
 グナルをイコライジング(F特をフラットに直す)し、トーキー用アンプを動作させます。 
 WEのオーディオバルブの黄金時代、1930年初めより年の中頃までの代表的なA級動作の真空管
 の出力は0.87から650W、プレート電圧は350〜12500Vで、大出力の真空管は主としてオーディオ
 モジュレーター(放送機用変調機)に使用されていました。 いずれも、WE直熱・純3極管のはずです。
 現在私達が、無理なく自作に使用できる上限は242Cの2W(RCA211相当)と284D(RCA845と近似)
 の40Wですが、212E、241B、308B(フィラメント14V、6A)もB電圧を1000Vに定めるとすると、20〜
 30Wは得られるはずです。また、242CはB電圧1000V時に出力15W、284Dは27W前後となります。
 WEのオーディオ用パワー管といっても、B級大出力用は殆どが放送機の変調機用です。
 しかし、純3極直熱出力管のハイパワーアンプの音色、迫力はまた格別のものであります。PP動作
 でもA級シングルで出力が僅かに4Wの268Aが同じB電圧で12倍の50Wと示されております(この
 例は特別としても・・・・)。 242C/211E 1250VのA級シングルで22WがB級PPでは200W、284D
 ではA級S40Wから140Wに増強されます。 242CがA級S時22Wから200Wと9倍もパワーが増え、
 284Dが40Wから3倍弱の140Wしか増えないのは、不思議に思う方もあると思いますが284DはA級
 オーディオ専用管で、Eb 1250V時、Ib 68mA、バイアス電圧はー218Vと非常に深くGグリッドをフ
 ルドライブするには約440Vppのシグナル電圧が必要です。しかし、A級シングルで40Wのオーディ
 オ出力が得られます。これに比較し、242Cはほぼ同じオペレーションでバイアス電圧は、-75V前
 後でドライブ電圧は150Vpp、A級シングル時の出力は22W程です。242CをB級ppのパワードライ
 ブを行うと(外形は同じでも送信用万能管ですから・・・・)。ドライブパワーにほぼ比例して出力は増
 加し、200Wのハイパワーが得られます。また、295A、331Aも(フィラメント電圧が10V3.25A)B電
 圧を1000V程のリレーティングを行い、約200Wの出力が得られます。 見慣れない型番のバルブ
 でもオーディオアンプに使用すると、きわめて良好なWEトーンが楽しめそうです。
 WEの資料を調べてみると、次から次と新事実、技術の源流を知る歓びとともに、今までの不勉強
 にいまさらながら恥ずかしくなります。
Western Electric Sound
 偉大なるウエスタン・エレクトリック
  
《その足跡を訪ねて》  ◎倉持公一 より
トーキー
システムの始まり
 (前略) 一方、1925年にワーナー社とW.E.の共同出資によって、サミュエル・ワーナーを社長とす
 るヴァイタフォン社が発足する。その商標、ヴァイタフォンによる初めての映画として、翌年8月にニ
 ューヨーク・フィルハーモニックの音楽をフィーチャーした『ドン・ファン』が封切られる。 ハリウッドに
 おけるトーキー映画の製作プランがただちにスタートして、そのための防音設備のあるスタジオが音
 響学のエキスパートの知識を集めて建てられた。
 アル・ジョンソン主演のトーキー映画『ジャズ・シンガー』の撮影は1927年の4月にスタートし、同年1
 0月にニューヨークで封切られる。この映画の成功があまりにセンセーショナルだったので、もはや
 すべての映画製作者たちは、トーキー映画の定着を信じないわけにはいかなくなっていた。
 この、『ジャズ・シンガー』のトーキー再生につかわれた『ヴァイタフォン・システム」は、録音された 
 音の情報が直径16インチ、33.33r.p.m.のディスクに刻まれている。このディスクを、フィルム・プロ
 ジェクターのモーターとギアで結んでシンクロナイズさせたターンテーブルの上で回す。 ディスクに
 刻まれた音を拾いだすのは『4-A』リプロデューサーだ。
 アンプは『8-A』と『9-A』または『10ーA』、後に『41-A』と『42-A』『43-A』が用いられて、スピーカー
 は『555』レシーヴ ァーに『12-A』と『13ーA』ホーンをそれぞれ数台組み合わせたものだった。 
 (後略)
Western Electric
WE 17-A Horn/WE 15-B Horn System
systemG ウェスタン・エレクトリック
 
WE 15B+WE555×2+WE31ホーン+WE594+ELUTAS 4181×2を鳴らす

 
WE15Bホーン{1928}+WE555×2+エルタス4181×2+WE31A ホーン+WE594
 ←WE86Cアンプ(300App)
 ←FM ACOUSTIC 122←RYLEC検聴用プレーヤー←EMT RF297
 ←ORTOFON TypeA,B,Cカート(振動系の違いです) =MERIDIAN208 CDプレーヤー
Western Electric
WE 15-B Horn
ウェスタン・エレクトリック
WE 15B+WE555×2、WE594+WE31ホーン、4181×2
、15A HORN
DESCRIPTION-EXPONENTIAL(WOOD)
HOR. COVERAGE-40 DEGREES
VERT. COVERAGE-60 DEGREES
WEIGHT-150 POUNDS   1928
Western Electric
WE17-A Horn/WE15-A Horn System
 ステージ・スピーカーシステムに用いられたウェスタンの主力木製ホーン。1928年開発。
 555レシーヴァーと7-Aアタッチメントを加えたシステムとして、15-A のコード番号が与えられている。
 シナ材の3層ベニア(薄板の木目を直角ではなく、同方向に揃えて貼ってある)を蒸気で湾曲させ、
 ニレ木材のフレームに固定した木製部(2ピース構造)、アタッチメントのキャストアイアン部分(2ピ
 ース構造)が、ボルト・ナットで結合されている。ホーン側部に示されている点線は、音軸を示すも
 の、レシーヴァー・アタッチメントは7-Aが555×1基用、8-Aが2基用、16-Aが3基用、10-Aが4基
 用、と4種類がある。
 7-A使用の場合、音道長は約14フィート(4.27m)、カヴァレッジ・アングルは水平30度、垂直40度。
 外形寸法は全幅=6.375インチ(143.2cm)、全高=70.5インチ(179.1cm)、奥行=53.125インチ
 (134.9cm)、 重量=140ポンド(63.4kg)


{ステレオサウンドK.K.発行 WESTERN ELECTRIC SOUNDより}  新忠篤さん筆
 最低周波数は57Hz 
伊藤喜多男師筆
音響道中膝栗毛より
伊藤喜多男師筆
続音響道中膝栗毛より
Western Electric
WE 555
Western Electric
WE 555 Receiver

 
『555-W』は1926年、本格的に始まったトーキー映画ヴァイタフォン)用に開発された、ウェスタン製
 のレシーヴァー(スピーカーのことを同社では伝統的にレシーヴァーあるいはラウド・スピーキング・
 テレフォン=L.S.T.と呼ぶ)である。形式的には世界初の業務用ムービングコイル型コンプレッション
 ・ドライヴァーであり、12-Aホーンをスクリーン上部に、13-Aホーンを舞台下のオーケストラ・ボックス
 内に設置し、『555-W』と組み合わせただけで、数百人〜2千数人規模の客席を持つ劇場のすみず
 みまで、充分に音のサーヴィスすることができた。ちなみに、そのころの同社のトーキー用アンプリ
 ファイアー(以下アンプ)は、主力であった8-A+9-Aで1.69W、ブースター・アンプの10-Aを付加し
 ても19Wという驚くべき小出力であった。『555-W』(当初、製造ははイリノイ州ホーソーン工場で行
 なわれていたが、Serial No.20.000盤台からノースキャロライナ州バーリントン工場に移管され、
 〔W〕のサフィクスを省略)は、従来のスピーカーの常識をことごとく
打ち破る、革命的な製品として彗
 星のように登場した。軽量なアルミリボン線によるエッジワイズ巻きヴォイスコイル(90%以上が導
 体で占められる)の採用、正中断面がM字状にらる17STアルミ合金ダイアフラムには、同社のハリ
 ソンH.C.Harrisonの発明によるタンジェンシャル・エッジが採用され、大型ホーンとの組合せのフル
 レンジ使用による大振幅を可能にしている。さらにダイアフラム前方に近接して設けられたフェイズ
 プラグも、特許の範囲に含まれる。業務用に求められる絶対的耐久性、高感度、広い周波数特性と
 ダイナミックレンジ、加えて低比率を実現したこのユニットは、またたく間に世界を席巻する。 
 中略
 ホーンとの組合せによっては、帯域バランスや指向性、エネルギー感が微妙に変わるため、設置す
 る部屋や好みの音楽に合せて選択できる愉しみがある。まず、最も著名で我が国のシアターでも多
 用された15-Aホーン・システム(17-Aカーブド・ホーン〔3層の合板製〕+7-Aレシーヴァー・アタッチ
 メント+『555』)を一応の標準として、それぞれの大まかな傾向を比べてみることにする。この15-A
 ホーン・システムの特徴は、フルレンジで用いた場合、開口部が大きい(52×52インチ〔132.1cm〕、
 カットオフ周波数57Hz)ためか、かなりの低域までフラットなレスポンスを持ち、しかも一般的なコー
 ン型ウーファーにありがちな押しつけがましさが一切ない。SP盤が特にいいが、モノラールのLPぐら
 いまでは、いまもって超一流のサウンドが得られる。そしてホーンに近づいても離れても音量差をあ
 まり感じないのは、開口部の波面が平行面に近くなっている証拠である。
 6-Aと11-Aは残念だが割愛する。12-A(カーブドホーン)は13-A(フォールデッドホーン)と同時開
 発の“ヴァイタフォン”最初期の傑作で、双方ともソリッドウッドを繋ぎ合わせた豪華版である。適当
 な内部損失と重量(12-Aは180ポンド〔81,5kg〕、13-Aは250ポンド〔113.3kg〕が功を奏して、クリ
 アーで彫りの深い陰影に富んだ表情を得意とする。公表されているカヴァレッジ・アングルは水平30 
 度、垂直40度だが、実際には開口部の平行面の反射があるためか、水平の指向性は意外に広い
 感じである。12-Aは電気吹込み方式のテスト時のモニターに多用されたのは当然だろう。13-Aの
 ほうは音道が長く、2回の折り返しがあるせいで音が低域寄りになる。
 中略
 また後の“ミラフォニック・サウンドシステム”になってから使用された25-Aホーン(フラットフェイス、
 15セル・メタル・ストレート)は、2ウェイシステムで使用した時にひじょうに使いやすいホーンとして、
 忘れることはできない。
 中略
 大まかなところだけ述べると、まずバックチャンバを塞ぐ蓋だが、ワイヤークロスとブラス板の2種類
 がある。これは特に低域に関する差があり、伸びとダンピングの面ではクロスに軍配が上がる。
 中略
 フィールドコイル励磁電源のタイプによる音の差はかなり大きく、タンガーバルブは艶の乗った澄み
 切った音、セレン整流器は引き締まったデリケートな音、バッテリーは近代的な切れ込みの鋭い音、
 といった傾向を示す。
『555』を現代に活かすには
 15-Aホーン・システムは、映画館の標準システムといっても過言ではないほど広く普及した。
 これを41-A+42-Aまたは46-Aアンプと組み合わせれば、往時の音をそのまま愉しむことができる。
 もし、このようなシステムが入手できたとしたら、ホーンを天井吊りにし、音軸をリスニング位置に合
 せて、まずはフルレンジで鳴らしてみることをお薦めする。音響製品に関するさまざまな悩みを一掃
 してしまう。説得力のあふれるサウンドに圧倒されるはずである。また、レシーバーを複数個使用も
 興味深い結果をもたらすことは確実で、これは17-Aホーン以外のホーンでも同様である。
 通常、高域のレンジが拡大し、静寂感が増してくる。
 より高度な使い方を追求し、現代のデジタル・ソースまでの適応を考慮するならば、同社の2ウェイ
 〜3ウェイ(ワイドレンジ・システム)への展開を図ったのと同様のテクニカル・スキルを、オリジナル
 通り踏襲するのがベストである。それが1933年、バッフルに1〜6本の『TA-4151-A』(D.C.型は
 『TA-4153-A』を加えて低域を強化し、高域に「596-A』/『597-A』をプラスしたシステムである。
 そして、ここにウェスタン・サウンドは一つのピークを迎えることになる。
 中略
 ウーファーは後面開放型キャビネットかプレーンバッフルに取り付けるのが、『555』とのつながりを
 スムースにする鉄則で、トゥイーターは1〜4μFのコンデンサーにより低域をカットして付加すれば
 よい。 いずれにしても『555』になるべく広い帯域を受けもたせるのがコツで、ディヴァイディング・
 ネットワークもオリジナルを参考にいろいろ試してみたい。『555』でレコードを鳴らすと、演奏家の肌
 のぬくもりが一緒につたわってくるような感じがありありとする。そこには“音”だけではなく、“音楽”
 がある。 『555』は工業製品でありながら、工芸品の域にまで達した、たぐい希な存在である。

{ステレオサウンドK.K.発行 WESTERN ELECTRIC SOUNDより}  新忠篤さん筆 
池田 圭先生が著した『音の夕映え』に“スピーカの中で暮す日々”の文章がある。
オーディオに全てを捧げた師の心境、少しは見習いたい。  
 「
世界の超一流品が集まり始めると、楽しさよりは苦しみの方が度を加えていった。毎日毎晩のよ
 うに火事の幻覚や夢に魘され出した。その頃は木造の家屋に住んでいたので、周囲をブロックの
 塀で囲ったが、こんどは飛び来る火粉が現の僕を苦しめるようになった。 とくに昭和の初め頃から
 あこがれの的であった米ウェスタン・エレクトリックの15Aホーンを東洋支社から戴いてからの苦しみ
 は、僕をしてコンクリートの巨きな箱を作らせることを思いつかせた。
 それが鉄筋壁構造の柱無しの一階建のスタジオである。広さは約二十四畳で、別に超低域スピー
 カー用六畳の部屋があり、これがキャビネットともなり、録音用のモニター・ルームにもなっている。
 ガラス窓のあるのもそのせいである。この外に化粧室や台所もあって一応まさかの時には暮せる
 ようにしてある。 けれども、僕は住宅の方で休むことはあっても、真夜中とか夜明けに一度はスタ
 ジオを見廻り、そのままデイ・ベツトで眠ってしまうことが多い。
 スタジオには、明治時代の蓄音機から現代の音の録音・再生装置が揃えてある。聞く、読む、見る、
 最近は殆ど外出することがない位ここで楽しんでいる。もとより難攻不落の城ではないが、落城の
 時はここで死ぬ覚悟を決めているせいか妙に落着きを感じる。 来客は多い方かも知れない。
 それらの人々が最近のオーディオ界の話題を運んでくる。
 新製品も持ち込まれる。けれどもそれらによって僕の装置がよくなったことは、ひと昔以上からあっ
 た例がない。 音作りはスピーカーによって定まる。このことを約五十年前にその姿をトーキー劇場
 で現したこのスピーカーが物語っているような気がする」


 池田圭先生のスタジオに何回か訪問する機会があり、クラングフィルム・オイロッパの音を所望しました
 が、体調を崩されて以来聴いていなく音が出るかどうかとのお言葉。 同行した友人達が配線のチェック
 などをして第一音が出たとき同行の友人の目に涙を見ました。師もその後元気を出され我が家にもいら
 していただき、低音の悪さを指摘してくれました。
 オーディオをやっていて尊敬する方々とお逢いできる機会を得れることが最高の勲章となります。
                                             伊藤喜多男師筆
Western Electric
WE 31-A Horn
ウェスタン・エレクトリック
WE31Aホーン
 ツイーターとして使用
31AHORN
HOR. COVERAGE-120 DEGREES VERT. COVERAGE-40 DEGREES
WEIGHT-9.5POUNDS
FREQUENCY RESPONSE-400-10,000CYCLES/SEC WITH 594A RECEIVER
WE594 LOUD SPEAKING TELEPHONE
WEIGHT-30 POUNDS
DIAMETER-7 INCHES
FIELD COIL-24 VOLTS DC 18 OHMS DC 32 WATTS 1.3 AMPERES
VOICE COIL-12 OHMES DC
Western Electric
WE31-A Horn

 
モニター用またはP.A.用アルミニウム・ダイキャスト製ホーン。594-Aとの組み合わせの他、27-A
 レシーヴァー・アタッチメントを使用し、713-A/B/C、720-Aレシーヴァーとの組合せも可能。
 カットオフ周波数は300Hz。120度の水平カヴァレッジ・アングルはウェスタンのホーンで最大。
 垂直は40度。サイズは全幅23インチ(58.4cm)、全高9インチ(22.9cm)、奥行15インチ(38.1cm)、
 重量9.5ポンド(4.3kg)。 周波数レンジ300Hz〜10kHz(594-A使用時) 

WE 594-A Receiver
 1936年、“ミラフォニック・サウンドシステム”と名づけられた新型トーキー映画再生装置が、ウェス
 タン/E.R.P.I.から発表された。このシステムこそ、同社がそれまでに蓄積した、理論解析とテクノロ
 ジーとノウハウの集大成であり、結果として映画音響の分野における一大金字塔を築くに至ったの
 である。なかでもスピーカーシステムには「ダイフォニック」(2ウェイの意)という名が与えられ、新時
 代の到来を高らかに謳いあげている。 この「ダイフォニック」の中・高域を担うのが、『594-A』レシ
 ーヴァー(『555』も一部使われた)で、ウェントE.C.Wenteの手によるものである。基本設計は、193
 3年4月に行なわれたフィラデルフィア〜ワシントンDC間の3チャンネル立体音響伝道実験に用いら
 れた中・高域ユニットと変わらないが、業務用としての利便性と量産性を高めるために、一部のデザ
 インの変更を受けている。その主たるものがターミナルの位置と形状、ヴォイスコイルのリードアウト
 部、レシーヴァー・アタッチメント取り付け部(ネジ込み式からボルト・オン式に。それに伴い防塵用
 のシルクネットを新設)などがある。しかし、これらは全体の設計理念に影響を与えるほどではなく、
 バック・プレッシャー型のこのユニットは、その後のコンプレッション・ドライバー設計の主軸たるべき
 偉大な革新性を持つものであった。ヴォイスコイルは0.016×0.025インチ(0.41×0.64mm)のエッ
 ジワイズ・アルミニウム・リボン線(35ターン、D.C.抵抗は12.5Ω)で、直径は4インチ(10.16cm)。
 0.002インチ(0.051mm)厚のプレーンなエンボス加工の施されたダイアフラム(アルミニウム合金製。
 パテントにはジュラルミン製と記されている)に、クラフトペーパーのライナーが熱硬化性の樹脂系接
 着剤で内貼りされ、裾が固着されている(形状は細かい台形か波形)。
 ダイアフラムのエッジは、“annular compliance”と呼ばれる、比較的狭いロ−ルエッジである。
 また、ダイアフラム全体の色が何種類か存在し、音の違いが云々されることもあるが、これは防錆
 のためのフェノール系塗料によるもの(ロットごとに異なる)で、基本的に音の差は全くないといって
 もいい。このダイアフラムの形成はたいへん滑らかで、また同種のものと比べても異例に弾力性に
 富んでいる。さらに、イコライザーの精度の高さと堅牢さも特筆すべき点で、真鍮ブロックから削る出
 された4個の円錐状パーツは、各々3ヶ所に設けられたスロットに、所定のスリットを厳密に保つよう
 にキーで銀鑞づけされ、ポールピースと合体した後、あらためて表面の切削加工が行なわれる、と
 いう念の入れようである。ヴォイスコイルが入る磁気ギャップの底が、キャビティ効果を生じないよう
 に塞がれているところも、先進性を感じさせる。 
 中略
 『594-A』は、自分のことを棚においていうのも変だが、天吊りした24-Aホーン(エネルギッシュな音
 が魅力)、26-Aホーン(スケール感に優れる)と、理想的にはTA-7396(『TA-4181-A』レシーヴァ
 ー2本収納)あるいはTA-7397(同4本)低域バッフルに組み合わせて(当然、非対称ウイング付属)、
 聴きたいものである。アンプは当然ながら86+87がベスト。『TA-4181-A』低域レシーヴァーは、
 大型のコーン紙からの連想か、『594-A』に比べスピード感が欠けるという向きもあるように仄聞す
 るが、オリジナルの低域バッフルとディヴァイディング・ネットワークを使用すれば、あらゆるソースで
 そういう事実はない、と確認済みである。
 いずれにしても、ウェスタンが、否、人類が創出した最高のトランスデューサーは何かと問われれば、
 私はこの『594-A』だと断言して憚らない。

{ステレオサウンドK.K.発行 WESTERN ELECTRIC SOUNDより}  新忠篤さん著 
Western Electric
TA-7387 Amplifier
 『TA-7387』はP.E.C.信号の増幅用、“ミラフォニック・サウンドシステム"に用いる『1086-A』の前
 置アンプとして設計された。 機能は『49』と同様だが、『49』が映写機と隣接した場所に設置するハ
 イインピーダンス入力であるのに対し、本機はキャビネットに収納された状態で映写機の壁に直接
 マウントされ、映写機とは離れた場所に位置するため、インプット・トランスを設けたローインピーダ
 ンス対応となっている。アンプは262Aシングル・ステージのシンプルなものなのだが、アウトプット・
 トランス132ーCの出力側には、シャーシー内部に固定式のデーヴァン製アッテネーターFP-39(巻
 線抵抗を内臓)と、回転式アッテネーターTA-4190が、シリーズに結合されている。
 劇場におけるステージ・レシーヴァーの音量は、このTA-4190でコントロールした。 262Aのヒータ
 ー用A.C.10Vおよび B電源200Vの供給は『86』から行われるが、特に高圧側は『1086ーA』内の71
 6-Aアパレイタス・ユニットを通じてサプライされる。このユニットにはリタード・コイルが179-Aと221
 -Aの2種類のヴァージョンが存在する。
 一般的には、『1086-A』ばかりがエンスージャストの間で脚光を浴び、本機はあまり目立たない存
 在だが、音量調整用のアッテネーターを持たない『86-A/C』アンプには、必要不可欠な存在といっ
 てよく、付加することによる音質の向上ぶりは、目を見張らせるものがある。“ミラフォニック・サウン
 ドシステム”の本領を発揮するのに、絶対欠かせない製品だといっても過言ではない。

{ステレオサウンドK.K.発行 WESTERN ELECTRIC SOUNDより}  新忠篤さん著 
Western Electric 
86 Amplifier
 『86』は、1934年に発表されているが、’35年のType1〜4システム、’36年のM-3〜4“ミラフォニッ
 ク・サウンドシステム”の「ダイフォニック」システムをドライヴするパワーアンプとして運用、出力管
 300Aをプッシュプルで用いた、ウェスタンでもっとも著名な製品の一つである。300A採用のアンプは、
 『D-95036-F/G』、『86』、『91』、『92』と、1938年以降の製造された『TA-7467』、『TA-7477』が
 あるが(他に300Bを採用した『42』、『46』のモディファイド・ヴァージョンなどがある)、ファイナルス
 テージがプッシュプルの『86』。シングルの『91』、この2種がシアター用として、もっとも重要な存在
 である。 前置アンプ用電源は、『49』では714-A(D.C.90V)、『TA-7387』あるいは『80』を用いる
 場合には、716-A(D.C.200V)アパレイタス・ユニットを内蔵する。 『86』は(A)と(C)型で最小47db
 から最大99db、(B)型で36dbから96dbの幅広い固定式ゲイン・コントロールが行えるのが特徴であ
 る。 まず入力信号は1次インピーダンス200Ω、2次インピーダンス110kΩ、昇圧比1:23.5のイン
 プット・トランス261-B(パーマロイ・コア)で受ける。
 『86-A』のアウトプット・トランスは166-A、『86-B』では166-B、『86-C』では159-Bとなる。
 159-Bは1次インピーダンスが4.13Ω、2次が6Ωと12Ωで、6Ωのタップの場合3.5Ω〜7.5Ωのイ
 ンピーダンスを持つレシーヴァー、120Ωの場合には7.5Ω〜15Ωのレシーヴァーを接続するように
 との指示がある。 300Aのバイアス抵抗(ワード・レオナルド製)は、60オームと510Ω(合計570Ω
 )で、ここには300A×2本分の電流が流れるから、1本分に換算すると1.140Ωになる。わざわざ60
 Ωと510Ωに分割してあるのは、B電源と510Ωの間に16μFの電解コンデンサーを接続し、A.C.分
 (B電源のリップルや出力管のアンバランスから生ずる歪)をキャンセルする手法である。また同時
 に300Aの、高域における電源インピーダンスを下げる効果もある。『86』はウェスタンで最初に本
 格的に電解コンデンサー(エアルヴォックス製)を採用したアンプで、これも画期的なことであった。
 『86-A』『86-B』とも、パワー・トランスには当初60Hz専用のコア・ヴァリウムの小さめのもの(323^B)
 が採用されたが、発熱およびレギュレーションの点で不利なため、1935年に47Hz〜63Hz対応の
 D-96970に交換された『B-86-A/c-86-A/86-C』が生まれる。
 『86』は、映画産業の隆盛の波に乗った、ワイド・フリクェシー&ヴォリュウム・レンジを謳う“ミラフォ
 ニック・サウンドシステム”を導入したシアター用に、1934年から’37年の間、大量に生産された。
 客席数が800〜1500席、100,000〜250,000立方フィート(2,831〜7,079m)のエア・ヴォリウム
 を持つシアターでM4システムや、M3システムにおける、ステージ・レシーヴァー駆動用の終段アン
 プとして充分な実力を発揮した。
 TA-4161-A低域レシーヴァー、594-Aレシーヴァー、26-Aホーンを主体とする“ミラフォニック・サウ
 ンドシステム”を本機で鳴らしてみると、わずか15Wの出力であるにもかかわらず、その卓越した表
 現力、色彩感豊かな描写、そして圧倒的な重量感は現代の数百Wのアンプに勝とも劣らないことを
 強烈に思い知れされる。オーディトリアムにおける音響機器のテクノロジーは、1930年代にはすで
 に完成の域に達していた。それが現代民生用オーディオシステムにあまり継承されていないことは
 残念でならない。音響技術および音楽ソフトの分野に関しては、S/Nが改善され、ダイナミックレン
 ジおよび周波数レンジも拡大してきたが、その代償として失われたものも多いことを考え直す時期
 に来ているのではないだろうか。
  
{{ステレオサウンドK.K.発行 WESTERN ELECTRIC SOUNDより}  新忠篤さん著  
{


現在300A、入力310Aメッシュにしてプリメインに改造。
自慢は274Aナス管です。
伊藤喜多男師筆
 このサインはウェスタンの発声装置を設けた劇場の入り口に誇らしげに掲げられていたものです。
 ウエスタンとしては珍しくTalking Pictures at theit Best!と書いてある、その自信の程を見せている。
 これは1933年に作られたもので当時のアンプリファイアーは41・42・43型、また12A・13A・14Aホー
 ンと555Wが使われいました。なんと75年前のことです。  (2008年記)
Western Electric
WE12-A Horn+WE13-A Horn System

池田圭 著 「盤塵集」より 
ヴァイタフォン(Vitaphone)・システム 1927
systemF ウエスタン・エレクトリック WE12A+13A+WE555Wを鳴らすシステム
WE12A ホーン{1926}+WE13Aホーン{1927}+WE555W
 ←JEWELL SOUND LABORATORIES 映画館用アンプ(2A3pp+フェランティー入力トランス)
 又はWE41、WE42、WE43アンプ←WE49プリ←RCA Type 70-D Transcription Turntable
 ←FM ACOUSTICS FM 122 Phono Linearizer/preamplifier
 ←WE5Aアーム←WE9Aカートリッジ=GRAY MONOアーム←GEバリレラ(SP
用)
 又はWE D86850プレーヤー(WE2Aアーム←WE4Aカートリッヂ←鉄針)
Western Electric
WE 12-A Horn
Western Electric
WE 12-A Horn

 
555レシーヴァーと平行して開発されたステージ天吊り専用木製ホーンで、木製部2ピース、レシー
 ヴァー・アタッチメント1ピース(キャストアイアン製)が結合された形を採っている。12-Aは後に開発
 された17-Aよりも木部が厚く(ソリッドウッドを使用)、リジッドに作られているため、音のヌケのよさ
 は秀逸である。音道長=11フィート(3.35m)、カヴァレッジ・アングル=水平30度、水直40度、外形
 寸法は全幅=45インチ(114.3cm)、全高=67.5インチ(171,5cm)、
 奥行=47インチ(119.4cm)、重量は555込みで200ポンド(90.6kg)。
 最低周波数は62Hz
 

{ステレオサウンドK.K.発行 WESTERN ELECTRIC SOUNDより}  新忠篤さん著 
@
Western Electric
WE 13-A Horn
ウェスタン・エレクトリック
 WE 555-W RECEIVER

 SPEECH COIL-12.8OHMS DC/16-25 OHMUS SPEECH/6 WATTS 
 FIELD COIL DC RESISTANCE 4.5OHMS-VOLTS-7 DC
 POWER SUPPLY-1.5 AMPS, 10.5 WATTS
 DIMENSIONS-7 INCHES DIAMETER, 4.5 INCHES HIGH
 WEIGHT-20 POUNDS 1925
Western Electric
WE 13-A Horn

 ステージ下部設置用フォールデッド型木製ホーン、555用。クレイドルと称する台に乗せられ、開口
 部に固定された金具により、21.5インチ(54.6cm)から、39.5インチ(100.3cm)まで高さ(角度)が
 変えられる。音道長は14フィート(4.27m)、カヴァレッジ・アングルは水平30度、水直40度。外形寸
 法は全幅=62.5インチ(158.8cm)、全高58インチ(147.3cm)、重量250ポンド(113.3kg)。
 12-Aの開口部は45×45インチ(114.3cm)、本機は62.5インチ×42.5インチ(108cm)と大きい。
 最低周波数は50Hzで12Aと同時に鳴らすと図太い音と繊細な音の混ざり合いになり聴きづらくなり
 ます。オーディオに詳しい方が資料を基に12-A:upper positionと13-A:lower positionの記載をも
 って高音用、低音用の目的でないとの指摘をされています。しかし実際に使ってみると当時ウェスタ
 ーン・エレクトリックがVictorに製造を依頼した目的は高音用12-Aは天井近くに客席に直接音が
 届くよう、低音用13-Aは舞台スクリーン裏か舞台下のオーケストラボックスに天井に向けて高音成
 分が観客に届かないようにセッティングされたものと解釈しています。
 
@
Western Electric
203-A
Reproducer Set
 『203-A』リプロデューサー・セットは『4-A』リプロデューサーと2-A(D-87994)アームが2本、ターンテーブルが2台、
 左右にセットされたコンソール型レコードプレーヤーシステムである。2台のターンテーブル中央には、メイン電源ス
 ウィッチと、D-89345ポテンションメーターがあり、左右の出力を切り替えてレコード演奏が連続して行なえるようにな
 っている。映画の幕間のレコード演奏サーヴィスの他、放送局でも使用された。『203-A』はKS-5282という、A.C./
 D.C.兼用の減速用ギアを持つ、ブラシ式モーターのタイプ(消費電力100W)があり、ガバナーによる回転調整により、
 50Hz、60Hzのどちらにも対応可能である。このモデルは後者よりキャビネットの厚みがモーターが小さくなった分薄
 くなっていて、重量も3分の1程度に減少しており、可搬性は高まっているが、モーター音は逆に大きめである。
 同じ『203-A』でもKS-5203エディカーレント・モーターが使用されており、3相のスター結線の巻線に複合型の4個の
 進相コンデンサーを投入、減速用のギアを用いずにモーター自体の回転が78rpm(60Hz)でロックする。ダイレクトド
 ライブの元祖ともいえるような構造である。ただし消費電力は当然ながら180Wと、今日的なレベルから見ると多めで
 ある。左右のプレーヤー双方には、それぞれモーターのON/OFFスウィッチが設けられ、スウィッチをONにすると
 スチール製のランプシェイドが点灯し、いかにも古典的な雰囲気をただよわせる。また、アームをアームレスト位置
 に収めた状態での4-Aリプロデューサー・ヘッドの真下には使用済みの針をためる針壺があり、固定用のスクリュー
 をゆるめるだけでそのまま針が落下して即座に交換可能となっている。針壺の左側には、プッシュし式アームリフタ
 ーがあるが、これは演奏終了後のリフトアップ専用である。当時のウェスタンのSPレコードは内周から外周にかける
 タイプでした。左右2個の4-Aヘッドの後に、それぞれ独立した7Aイコラオザーを介し、705-Aコントロールキャビネッ
 トに内蔵されているのと同等のアッテネーター部に信号入力される。出力は畏敬1系統で500Ωの出力インピーダン
 スを持つ。41-Aや46-Cにダイレクト入力することでも充分な再生音量が得られる。

{ステレオサウンドK.K.発行 WESTERN ELECTRIC SOUNDより}  新忠篤さん著 
Western Electric 
2-Aアーム
 『4-A』には2種のアームが用意されている。トーキー・サウンドトラック・ディスク用の16インチタイプ1−Aと、一般レ
 コード用の12インチタイプ2−A(D-87994)である。
Western Electric
4-A Reproducer
 1927年には、『4-A』リプロヂューサーが登場する。『4-A』は『3-A』と同様、通常の鉄針が使用さ
 れ、純正アームにマウントした場合、針圧は約130gとなるが、100g以下にしても針先のジャンプや、
 再生音のビリつきなどが一切発生しないほど、きわめて安定したトレーシングが可能である。鉄合
 金系の円盤の薄い金属ダイアフラムは、裏側のみ金貼りが施され、盤面に対して垂直に位置する。
 蓄音機のサウンドボックスと同様の配置となる。サウンドボックスにある鉄針固定用のトンボに相
 当するスチール製のノブが、ダイアフラムにダイレクトに半田づけされており、水平方向にのみフレ
 キシビリティを持つ。ダイアフラム内側の磁極は近接しギャップを設けて配置されている。
 振動板は固有振動をおさえるため、硝酸ベンゾールとひまし油の強粘性の混合油にひたされており、
 振動系全体がオイルダンプ方式になっている。 その形式が再生音そのものにもよく現れており、
 ノーダンプの『3-A』の立ち上がりの鋭いサウンドと比較すると、ピーク・ディップの抑えられた、しっ
 とりとぬれたような、耳あたりのよい心地よいサウンドをかもし出す。『4-A』のラベルには、
 〔No,1,284,623、No.1,586884〕の2種のパテントナンバーが表記されている。前者は、磁器回路
 方式に関せて、エジャートンH.C.Egertonが申請し1918年11月12日に認可されたもので、原理は
 同じだが、『3-A』のバランスト・アーマーチュア方式と全く異なった磁器回路方式である。これは、
 ホーン型の512-Wレシーヴァーなどにも応用されている技術である。後者はエルメンG.W.Elmenに
 よるマグネティック・マテリアルに関するもので、磁器回路素材に、鉄、アルミニウム、ニッケル、コ
 バルトの合金を採用していることを示し、高性能磁石の元祖が採用されていることを表す。 
 『4-A』リプロデューサーは、L.C.Rがシリーズに結線されたイコライザーの『7-A』と必ず組み合わせ
 て使用された。これは信号のホット側とコールド間をシャントするSP録音特性の等化用であり、当
 時約5kHzまで再生帯域を保障していたSP盤の、不要信号を急激に下降させるハイカット・フィル
 ターになっている。 このイコライザー『7-A』本体のラベルにもパテントナンバーが表記されている。
 その〔No.1,453,980〕は、1923年5月1日に認可されたホイトR.S.HoytによるL.C.Rを用いたアッテ
 ネーション・イコライザーに関する数理理論であり、AT&T社保有で、主として電話のイコライザー
 に多用されているものだ。『4-A』の信号は『7-A』を通り、『203-A』リプロデューサー・セットに内
 臓されるD-89345ポテンショメーター、あるいは別個のアッテネーション・ボックスである702-A、
 703-A、705-Aコントロールキャビネットなどを経て出力され、当時の200Ω入力をもつアンプに入
 力された。また、D-86850リプロデューサー・セットに内蔵されているD-86637 L型アッテネーター
 の場合は、100Ωのシリーズ抵抗を介して、出力インピーダンスを259Ωに整合させている。
 本機はトーキー・システムのリプロデューサーとして最高級の蓄音機をはるかに越えるバランスの
 とれた再生音を、より多くの人々に伝達することを可能にしたもので、当時の聴衆を圧倒した製品
 として著名である。
 
Western Electric
49 Amplifier
 『49』は1928年、プロジェクターに付属する2Aまたは3A P.E.C.(フォト・エルクトリック・セル)光学
 式ピックアップの微小信号を、ラインレヴェルにまで増幅する前置アンプとして開発された。
 「49-A/B』では、P.E.C.信号をダイレクトに電圧増幅管239Aで受け、インターステージ・トランスを
 経て、出力管239Aを通り、アウトプット・トランス127-Cの2時側から500Ωでラインアウトしているが、
 1931年の『49-C』からは、真空管が264Aに変わる。また2A P.E.C.が3Aなって出力が20dbほど
 アップしたため、インターステージ・トランス246-Aを抵抗結合回路に変えている。
 本機はローレヴェルを扱うアンプだか、各真空管に個々のシールドケースは設けず、黒いスティー
 ル製のキャビネットにアンプ全体を収納してシールドし、映写機のかたわらに床から鉄製のポール
 を立てて、その上にマウントした。アンプ本体のコンストラクションは、真空管、トランス類をマウント
 したサブシャーシーが10本のスプリングで揺り籠のように外枠から吊り下げられ、スプリング自体
 に通電性を持たされ、信号、電源などの電流の経路となる。このフロティング機構はローレヴェル
 増幅での、マイクロフォニック・ノイズやアコースティック・フィードバック防止に効果絶大だ。
 『49』のフィラメントは、ほとんどバッテリーにより点火(D.C.12V)されたが、P.E.C.のポレレイジング
 電源を兼ねるB電圧90Vは、『42』、『46』のB電源から、D-9610または700-Aフィルター・ユニット
 を通じて供給される。現在、『49』をフォノイコライザーに改造して使用する向きもあるようだが、
 元来30db程度のゲインしかないフラットアンプなので、トータルゲインを確保するためには、昇圧比
 の高いインプット・トランスを使うか、本機をシリーズ接続するか、あるいは前か後にラインアンプを
 置く必要があり、なかなか難しい。しかし直熱管によるフォノイコライザーは、真空管アンプ愛好家
 の見果てぬ夢である。
 
{ステレオサウンドK.K.発行 WESTERN ELECTRIC SOUNDより}  新忠篤さん著
WE49用電源(WE206F×2)
Western Electric
 WE 41 42 43 Amplifier
 『41』−『42』−『43』は、本格的にトーキー映画普及の見通しが確立した1927年から1928年にか
 けて、ウェスタンが開発した“ヴァイタフォン”と呼ばれるシアター用サウンドシステムの、アンプリフ
 ァイアー(以下アンプ)部である。この3台のアンプは単独に用いられるではなく、あくまでも『41』が
 『42』を駆動し、更に大出力が要求される場合『42』が『43』を駆動するインテグレーテッドなシステ
 ムとして設計されている。『41』に使用されている真空管は、マイクロフォニック・ノイズのきわめて
 少ない293A、プレート用のB電圧は『42』から供給され(D.C.390V)、フィラメント点火用のD.C.12
 Vは、外部のストレージ・バッテリーからサプライされる。このD.C.12Vはフィラメント点火と同時に、
 一部を分圧しグリットにバイアス電圧を供給しており固定バイアスとセルフ・バイアスの折衷の動作
 になる。これはウェスタン独特のバイアス印加方で同社のスクライグンE.O.Scrivenの着想による 
 ものである。“ミラフォニック・サウンドシステム”登場の1936年以降には、大容量型のタンがーバ
 ルブ式カーレント・サプライTA-5035、TA-7276などが開発され、導入されたため、ステージ・スピ
 ーカーのフィールドコイル電源、映写用プロジェクター・ランプの電源、および『41ーA』のD.C.12V電
 源を1台でまかなうことが可能になった。このタンガーバルブ式電源の12V出力のフィルター部はき
 わめて厳重で3個のリード・コイルとTA-4115乾式電解コンデンサー「2μF」によるπ型フィルター
 を経て供給されている。D.C.12V回路にシリーズに入れられているフィラメント電流調整用の35-N
 レオスタットも、抵抗線を張ったステップの接点を持つ、大変に凝った造りのものである。


{ステレオサウンドK.K.発行 WESTERN ELECTRIC SOUNDより}  新忠篤さん著
伊藤喜多男師筆
伊藤喜多男師筆
Western Electric 『200-A』
 『41』ー『42』-『43』アンプ・システムは、ウェスタンの101型ラックに設置される。 そのいちばん上
 に設置されるのが200-Aパネルで、6系統のステージ・スピーカーと1系統のモニター・スピーカー
 のON/OFを行う。そして7-Aオートトランスを内蔵し、500Ωライン出力を555Wレシーヴァーのヴォ
 イスコイル・インピーダンスに変換する。オートトラ
ンスは鉄心の上に、一つの連続した巻線を持ち、
 その一部は1次巻線と同時に2次巻線ともなって共通に動作するものである。7-Aは同社が発表し
 た周波数が信じられないほどの広帯域感と豊かな密度感を持っているのが特徴だ。
 ステージ用レシーヴァーまでは、パラレルに数十メーターのケーブルが引き回されることのなるので、
 アンプの不安定動作や発振防止のため、アウトプット・トランス127-Aの1次側のセンターに、シリー
 ズにリタード・コイル109-A〔実側値5H、D.C.抵抗120Ω)が1個追加され、グラウンドに対してLCフ
 ィルターを形成している。


{ステレオサウンドK.K.発行 WESTERN ELECTRIC SOUNDより}  新忠篤さん著
Western Electric 41Amplifie
 『41-A』の外観は、ウェスタン・エレクトリック社が「ジャパニーズ・ブラック」と呼ぶ黒を基調としてい
 る。『41』は『42』を駆動するための電圧増幅アンプである。回路は直熱3極管239Aの3段増幅とい
 うシンプルなもの。構造的には19インチ・リレーラックマウント・サイズのパネルの両面に組み上げ
 られ、前面下部には黒い四角形のカヴァーが取りつけられている。上部には電流監視用のメータ
 ーが2個。左側のメーターは239Aのプレート電流用〔フルスケール2mA)で、3本の239Aのプレート
 電流をスウィッチで選び、1本ずつチェックすることができる。右側のメーターは、239Aのフィラメント
 電流監視用(フルスケール300mA)。パネル右側にある電流調整のためのレオスタットで手動調
 整する。3本の239Aフィラメントは、全部シリーズに接続され、トータル270mAにセットするのが規
 定値である。239Aの後続管264A/B/Cでは、これが300mAに増える。 3本の真空管は、アンプ
 パネル前面下部のカヴァー内部のフローティングされたサブシャーシに、130-Aソケットによりマウ
 ントされている。 防振のために、2重のコイルスプリングの中央に真空管のピンが貫通するように
 つくられた130-Aソケットは、フェルトを介して真鍮製のサブシャーシにマウントされ、シャーシは防
 振ゴムを挟み込んだコの字型のスティール・ブラケットでパネルに固定してある。
 サブシャーシー全体を覆う銅版製のカヴァーは真空管のシールド用である。更に、そのカバーの内
 部はフェルトが貼られている。マイクロフォニック・ノイズ、アコースティック・フィードバックを避ける
 為の実に巧妙な仕組みだ。『41-A』は入力信号をインピーダンス200Ωの233-Eインプット・トラン
 スで受ける。233-Eの2次インピーダンスは25KΩで、昇圧比は1:11.2。インプット・トランスの2次
 側には、23接点の26-Aポテンショメーターがあり、1ステップ3dB。合計22ステップのゲイン・コント
 ロールが可能になっている。抵抗値の合計は177.941Ω(≒180Ω)。26-Aは後術の38シリーズ
 の抵抗8個と独自の巻線抵抗15個を組み合わせたもの。調整ノブに固定された目盛り板をサム・
 スクリューでロックすることができる。ポテンショメーターを出た信号は初段の239Aに入る。初段と
 2段目の間には「High-Low」のゲイン選択スイッチがある。ジーメンス型の2極切替え多接点スウ
 ィッチである。High側は0dB、Low側はー15dBの設定。これを『41』−『42』というシステムの場合
 は「High」、『41』−『42』−『43』という組合せの場合は「Low」で使う。
 『43-A』のゲインは15dBの為、双方のシステムのトータルゲインは等しい。ゲイン選択後、信号は
 239A2段で増幅され、出力端子に接続される。239Aの終段はそのままパワーアンプ『42』のインプ
 ット・トランス233-Gの1次側16kΩに接続され、負荷となる。そのプレート電流は1.35mAから1.55
 mA、出力は19mWである。『41』用に『42』から供給される390VのB電圧は、まずリタード(チョーク)
 ・コイル109-Bを通り、各真空管のプレート電流監視マーター切り替えスウィッチを経て、各々のプ
 レート回路に接続される。

 {ステレオサウンドK.K.発行 WESTERN ELECTRIC SOUNDより}  新忠篤さん著
Western Electric 42Amplifier
 『42』は『41』により駆動されるパワーアンプである(価格は206ドル25セント)。『42-A』のインプッ
 ト・トランス233-Gの1次インピーダンス16kΩは、『41』の終段管239Aのプレート負荷となり、2次
 側が205Dのプッシュプル・ステージを直接スウィングする。 搭載される真空管は205Dが4本、そ
 のうち2本は出力管、他の2本は2極管接続(グリッドとプレートをつなぐ)で整流管として用いられる。  
 出力管205Dのグリッド・バイアスは、セルフ・バイアス方式が採られており、フィラメント・トランス
 (303-C)の4.5V巻線のセンタータップから575Ωの抵抗でグラウンドされている。インプット・トラン
 スの2次側の中点も、48kΩの抵抗でグランドされているが、その際バイアス抵抗のホット側、つま
 りフィラメント・トランスのセンターと、入力トランス2次側のセンターが0.5μF〜1.0μFのコンデンサ
 ーで接続されている。アウトプット・トランスの1次側のセンタータップには、電流計〔フルスケール
 100mA)が入れられており、プレート電流60mAを監視する。B電源は、パワー・トランス303-Bの
 高圧巻線430V×2を2本の205Dによって両波整流する。整流後の高圧はフィラメント巻線のセン
 タータップから取り出される。フィラメント巻線構造は複雑になるが、リップルの低減と接続の長期
 安定性の点で有利な方法である。フィルター回路を通過後のB電圧は440V〜450V、205Dの実効
 プレート電圧は410V〜420Vになる。『42-A』のアウトプット・トランス127-Aは1次インピーダンス
 8kΩ、2次インピーダンス500Ω/250Ωである。 『42』の電源スウィッチは時計回りのみの回転
 式で、ポジション@で各真空管のフィラメントがオンのなり、ポジションAで高圧が印加される。
 『42』はパネル正面から見て上部左側に出力管の205Dが2本、右側に整流管用の205Dが2本、
 専用ソケット116-Aに差し込まれている。そして、それぞれはパーフォレイテッド・メタルを小判型に
 成形した放熱および真空管保護用グリルに囲まれ、頭が手前にくるよう横向きにセットされている。
 ベースはバヨネットで回転ロックされるが、その時、205Dのグリッドは垂直になり、使用中のフィラ
 メントのたるみによるグリッド接触事故を防いでいる。ゲインは『42』単体で25dB、『41』単体の42
 dBと合わせると合計67dBになる。 『42』の最大出力は1.9W。

{ステレオサウンドK.K.発行 WESTERN ELECTRIC SOUNDより}  新忠篤さん著
Western Electric 43Amplifier
 『41』ー『42』は出力1.9Wのアンプシステムとして、1,000席以下のシアターでは充分に実用になっ
 た。しかし、それ以上の規模の映画館においては、より大出力が要求され、そのためのブースター
 ・アンプとして『43』が開発される。『43』は『42』の出力(500Ω)で駆動される。インプット・トランス
 241-Aは、単体の1次インピーダンスが275Ω、2次側が3,370Ω、昇圧比1:3.5であるが、外ずけ
 抵抗の610Ωで調整され、入力インピーダンスは500Ωn整合されている。出力管には、211E
 (後には242)が2本、整流管にも同一のチューブが2本使用される。『43』が一般のパワーアンプ
 と異なる最大のポイントは、出力管のプレート供給電圧が750Vと高圧電流であることだ。これは後
 の『B-43-A』で、1,050Vに引き上げられる。このような電圧の印加は、一般のコンシューマー・ア
 ンプのように、不特定なユーザーが使うという前提では、生命にかかわる危険があるため、採用は
 難しい。『43』の回路は基本的に『42』と同一のコンセプトで、それをスケールアップしたもの。
 インプット・トランスはダイレクトに出力管211をプッシュプル・スィングする。そのバイアス抵抗は、
 200Ωと112Ωをシリーズ接続した312Ω(出力管1本分に換算すると624Ω)である。出力管と、整
 流管のフィラメントは、10V/6.5Aがセンタータップつきで2回路、フィラメント・トランス(307-B)から
 供給される。アウトプット・トランス(128-A)は、円筒型。リングコアの、高価なトロイダル巻線構造で、
 1次インピーダンス6.5kΩ、2次インピーダンス500Ω、重量約14ポンドの巨大なものである。アウ
 トプット・トランスの1次側センタータップには、211×2本分のプレート電流計(フルスケール200mA)
 が入る。このメーターの前に発振防止用のリタード・コイル(136-A)が挿入され、B電源につなが
 るのも『42』と同様の手法。B電源用のパワー・トランス(307-A)は、760v×2で両波整流後、1μF
 ×9個のパラレル接続されたオイル・コンデンサー群×2と、リタード・コイル(137-A)でフィルタリン
 グされる。137-Aリタード・コイルの実測値は20H(D.C.抵抗225Ω)である。インプット・トランス(24
 1-A)の2次側はセンタータップから48kΩでグランドされている。このセンターと出力管のフィラメン
 ト・トランスのセンターが0.5μFのコンデンサーで結ばれ、信号電流を還流させているのも『42』と
 全く同じである。 『43』に使われた真空管は211E→242A→242B→242Cと年代順に推移する。
 242はプレート損失が100W増強されたため、『43-A』の高圧トランス307-Aをピアレス製AR-1054
 Aに変更し、750VのB電圧が1,050Vになった。カソード・バイアス抵抗値も上がった。
 アウトプット・トランスも、スピーカーにダイレクトに接続できる低インピーダンスの2次巻線を持つA
 R-1053-A、あるいはD-95659(1次=8kΩ、2次=1Ω、4Ω、9Ω、16Ω。これは『10-A』のローイ
 ンピーダンス対応型で、後の『87』にも使用された)に変わり、出力は9.5Wから一気に24Wとなる。
 『41』-『42』で駆動された『43-A』の音は、『42』の音を色濃く残しながら、音楽の表情がより深く
 なり、強い説得力を持つ。9.5Wの出力とは関係なく、圧倒的であふれるような色彩感に満ちたサ
 ウンドは、他のアンプでは全く得られないものである。

{ステレオサウンドK.K.発行 WESTERN ELECTRIC SOUNDより}  新忠篤さん著
RCA Type 70-D トランス・クリプション用のプレーヤーです
RCA Type 70-D
Transcription Turntable
 
 ギアドライブで33回転はスリップ式です
Western Electric
109Type Reproducer Group
 1039年になってウェスタンは、が気的なリプロデューサーを開発した。当時アメリカ各地に陸続きと
 建設された、FM
放送局での使用が目的とされた製品である。 ウェスタンでは、『9-A』リプロデュー
 サー+5-Aアームと組合せて使用する。KS-13386イコライザー(+ケーブル・アッセンブリー)ならび
 に171-Aリピーティング・コイルなどを用意。これらが組合され、システム全体を『109タイプ』リプロ
 デューサー・グループと呼んだ。

  
Western Electric
 リプロデューシング・ヘッドには、『9-A』と『9-B』の2つのモデルがある。
 『9-A』は針先が2ミルのダイアモンド製で、多数の放送局へ供給するプログラムに使われた、トラン
 スクリプション・ディスク用である。これは、水平あるいは垂直カットのディスクで、比較的狭い音溝
 を持ち、直径16インチのものが多い。 『9-B』ヘッドは、針先が2.5ミルのサファイア製で、一般の
 レコード(SP)などの太目のグルーヴを持つレコード用である。『9-A(B)』の特徴は、一つのヘッド
 の中に2つの発電コイルを持ち、その2つのコイルの接続組合せで、水平カットと垂直カットの2種類
 のディスクの再生ができるようになっていることである。 水平カット・ディスク再生時には、垂直方
 向で発生する信号をキャンセルするコイルの接続方法がとられるため、トレース時にスクラッチ・ノ
 イズや歪みが軽減される。一方、垂直カット・ディスクの再生時には、水平方向で発生する信号をキ
 ャンセルするコイル接続になるため、やはり同様の効果がある。


{ステレオサウンドK.K.発行 WESTERN ELECTRIC SOUNDより}  新忠篤さん著
Western Electric
 KS-13386+171-Aは、イコライザー特性の切替え、垂直および水平信号の切替え、インピーダン
 ス・マッチングの機能を持ち、イコライザーは、7つのポジションが選択できる。 Aカーヴの特性はト
 ランスクリプション・ディスク用で、最も一般的に使用されたものである。水平カットと垂直カットの選
 択と、それぞれのポジションで、2種類のイコライザー特性が得られる。 Bカーヴは、水平カット専
 用で、3種のイコライザー特性が得られる。一般のレコード(SP)再生では、そのうちの1つを選ぶ。
 厳密なカーヴ指定がないのは、ディスクのコンディション〔新品か、何回もの使用で磨耗したレコー
 ド)かによって、よりよい再生音、あるいはよりよいS/Nが得られるポジションを選択できるようにす
 る為だ。イコライザーの出力インピーダンスは、30Ω、250Ω、500Ω(600Ω)が選択できる。イコラ
 イザーの後に来くる前置アンプの入力インピーダンスに適応した出力インピーダンスを選べばよい。
 その場合にも、純抵抗でターミネートしなければならない。イコライザーの出力レベルは、-60db〜
 -80dbの間で、ディスクの録音レベルによって異なる。


{ステレオサウンドK.K.発行 WESTERN ELECTRIC SOUNDより}  新忠篤さん著
Western Electric
トランスクリプション・レコード
Grayの質量分割アーム
Gray グレイ #106
 
このトーン・アームは2つに分割された構造で、アームは中央部から前後に分かれている。後部の
 構造体は回転部とアーム・ベースとから成り立っていて、この構造体の中央先端部がU字型と成っ
 ていて、2つの腕に軸受があり腕の間に入るトーン・アームのあと半分の構造体を支えている。
 この前部の構造体は上下に動くトーン・アームであり、後端がスプリング後部の構造体から引っ張
 られていて必要な針圧が得られる構造と成っている。前部のトーン・アーム部は、慣性モーメントを
 低くする為の重量軽減と、音響的なQを低くする為に鋳造マグネシウムのП型チャンネルで構成さ
 れていて、先端部はオフセット角に合わせてアームの首が曲げられていた。全体はネービー・ブル
 ーに近い灰色のリンクル塗装で、蛙を飲んだ蛇のように横に膨らんだ中央の支持部を持ったこのト
 ーン・アームの外観は、なかなかダイナミックな迫力に富んだものであった。
MERIDIAN(メリディアン)208
 DAC部に1ビット、ドライブメカニズム部にフィリップスCDM4搭載のプリアンプ付きCDプレーヤー
 ★アナログ出力:アンバランス固定/可変各1系統
 ★デジタル出力:同軸/光2系統
 ★ライン入力、テープ入出力、PHONO入力端子
 ★外形寸法:W32.5×H10×D32cm
 ★重量:10kg 1989年
 NAGRA 4.2 モノ・テープデッキ
systemH ウェスタン・エレクトリック
WE597+WE25Bホーン+WE555×2+WE4181×2を鳴らす 
 
WE25Bホーン{1938}+WE555×2+WE597+WE4181×2WE41、WE42、WE43←WE49
 ←FMアコースティック155 ←RYLEC(ORTOFON社と共同開発)検聴用プレーヤー{1950}
 (NEUMAN・Cuttingmachin用モーター使用)←ORTOFON・RK309
 ←ORTOFON FONOFILM TypeA,B,C・モノカート
Western Electric
 ミラフォニック・サウンド・システム M-4システム 『ダイフォニック』 20-B システム
Western Electric
 25-A Horn
 ステージ用メタル製15セル、フラットフェイス型ホーンで、555レシーヴァー用。カヴァレンジ・アング
 ル=70度以上(水平)。レシーヴァー・アタッチメントは、20-A(555×1其用)、20-B(555×2基用)
 が用意されている。
 外形寸法は開口部で全幅40.5インチ(102.87cm)、全高25インチ(63.5cm)、奥行34.125インチ
 (86.68cm・555が1基の場合)、31.625インチ(80.3cm・同2基の場合)、重量80ポンド(36.2kg)
Western Electric
 25-Aホーン+20-Bアタッチメント+555×2
ウェスタン・エレクトリック
WE25Bホーン

DESCRIPTION-FLAT FAED,15 CELL
EXPONENTIAL,3×5, DIMENSIONS-25H×40.5 W×34.125 D
WEIGHT-80 POUNS WHTH TWO RECEIVERS
FREQENCY RESPONSE -300 TO 7000 CYC./SEC.
HOR. COVERAGE-80 DEGREES
VERT. COVERAGE-40 DEGREES1937
20B RECEIVER ATTACHMENT FOR TWO 555 RECEIVERS
Western Electric
 TA-7401タイプ
 TA-4181ーA低域レシーヴァー×2基用でオリジナルプレーンバッフル付きの前高は6フィート6イン
 チ〔198.1cm〕。 重量=567ポンド(256.9kg、レシーバー含まず)。
 本機は主に天井の低いレヴュールームでモニターとして使われていた。
 材質はFir、ダーク・ウォール/オイル・ステイン仕上げ
WE597A ボストウィック・ツイーター
SPEECH COIL-20 OHMS DC & 6WATTS
FIELD COIL-6.6OHMS VOLTS- 7 DC
POWER SUPPLY- 1.06 AMPS & 7.5 WATTS
DIMENSIONS-4 1/4 INCH DIAMETER 7 1/8 INCHES DEEP
WEIGHT 6 1/2 LBS.
Western Electric
 597-A Reciever
 
本機は、ボストウィックLee G Bostwickが1929年に開発した高域再生用レシーヴァーである。
 ヴォイスコイルはエッジワイズに巻かれたアルミニウム線で、直径1インチ(2.54cm)。ごく薄いクラフ
 トペーパーで裏打ちされ、0.002インチ(0.051mm)厚のバフ仕上げが丁寧に施された17STアルミ合
 金ダイアフラムに固着されている。エッジはフラットのままだが、これは高域専用のため、振幅を大き
 くとる必要がないからである。ダイアフラムの全重量はわずか160mg、カットオフ2kHz(開口部2イン
 チ強〔約5cm〕、長さ4.75インチ〔12.06cm〕の亜鉛合金ホーンの中に、砲弾型のイコライザーが設
 置されている。E.R.P.I.のエクイップメント・ブリテンには計7種類のタイプが存在すると記されているが、
 『596』と『597』で0.25ポンド(113.25g)重量が異なる(ヨーク部のフィニッシュとターミナル構造が違
 う)のと、フィールドコイルの電圧と電流値が用途別になっているだけで、ヴォイスコイルのインピー
 ダンスと耐入力電圧も有意差がないため、基本的にはすべて同一のユニットと考えてよいだろう。
 本機は『555』を中心とするシアター・サプライ、3ウェイの“ワイドレンジ・システム”(1933年、2ウェイ
 もある)に登用されたせいで、『555』と同様な設計思想に基づいて製品化されたと思われがちである。
 事実そのように用いた場合、音色がきわめて近似しており、受持帯域が違うだけという捉え方が一
 般的のようで、特許に示されている図や設計者自信が発表したBell Laboratories Recordの記事
 中写真にも、15-Aホーン・システムと組み合わせた写真やその測量グラフが出ていることもあり、
 そう信じてしまうのも無理ない。 だが、それは本機の持つ力の一端なのではあるまいか。傍証だが、
 その根拠はいくつかある。まず、1933年当時の光学式録音高域限界は10kHz止まりで、本機の高
 域周波数限界12kHzを下回ることである。 加えて先述のTA-7272-A 2ウェイ・システム(キャリン
 グケース入りの小型システムで、『TA-4151-A』と組み合わされた)の存在。
 さらにケラーA.C.Kellerらが開発に執念を燃やしていた縦振動ディスク(高域は12kHzまで伸びてい
 た)のデモストレーションに用いられた、移動式プレーンバッフル(『595-A』15インチ低域用コーン
 型レシーヴァー8本に4本の『597-A』。4本と2本の組合せもある)があること。そして何よりも、“ワ
 イドレンジ・システム”のトゥイーターとして用いた時と2ウェイの高域ユニットに使った場合の、得ら
 れるサウンドのあまりにも大きな差である(クロスオーヴァー周波数はどちらも同じ3Hz)。 前者で
 は、存在感を決して誇示することなく、あくまでも静かに、音楽の中にまろやかに溶け込でいく鳴り方。
 通常トゥイーターを必要としない『594-A』レシーヴァーを中心とした「ダイフォニック・システム」でも、
 本機を付加する効果は大きいといえよう。音場のできかたというか、雰囲気づくりの上手さにおい
 ては、『596-A/597-A』の右に出るものはない。 しかし本機をひとたび2ウェイで用いると、その
 性格は一変する。例えば『TA-4151−A』と組み合わせると、高域が伸びるというよりは、むしろ中
 域がぐっと充実して、切れ込みと締りが増す印象になるのだ。エネルギッシュかつスピード感豊かで、
 モニターライクな現代的サウンド。これこそ『596-A』本来の慣らし方なのでないだろうか、と思わせ
 るものがある。 確かに設計上の形態からいえば、本機は『555』の系譜に属するという指摘は正し
 い。しかし、仮説だが、思想的には、キャビティの設計、つまりホーンの喉部に設定されたイコライザ
 ーとダイアフラムの間隙のとり方。最初からフルレンジ再生を狙わない手法。高域の指向性がビー
 ム状に鋭くなるのを防止する小型ホーンの採用。タイム・ドメインを考慮したパテント図版中のユニ
 ット配置(同軸型ユニットがすでに提案されている)。複雑な熱処理を必要としないシンプルなエンボ
 ス加工のダイアフラムとヴォイスコイルの接着法など、むしろ超弩級ユニット『594-A』の、先駆的製
 品として性格が強いのではないろうか。そう考えれば、このユニットの音の二面性も理解しやすい
 ように思われる。なおボストウィックはコーン型ユニットの設計も数多く行っているが、世界初のドー
 ム型レシーヴァーのパテントホルダーとしても著名である。
 

{ステレオサウンドK.K.発行 WESTERN ELECTRIC SOUNDより}  新忠篤さん著 
Western Electric
 TA-7375-A Network
 “ミラフォニック・サウンドシステム”用の主力ディヴァイディング・ネットワーク。
 クロスオーヴァー周波数は300Hz、12db/oct。インピーダンスは12Ω。
 リタデーション・コイル(ASA-1317)は空芯式、キャパシターTA-4187には大型でかつ誘導電力率
 のよいオイルコンデンサーを使用している。なおR1、R2、L3によるシンプルなハイパス・イコライザ
 ーはシステム・トータルでの最終的な音質コントロールを意図したもので、通常は外してもよい。

 {ステレオサウンドK.K.発行 WESTERN ELECTRIC SOUNDより}
 
TA7376Type+TA4181A
(ボイスコイルインピーダンス 11.7Ω/at 400Hz,DC24V/1A CONE DIAMETER-18 inc)
Western Electric
TA-4181-A Receiver
 本機は1936年、ウェスタンが渾身の力を込めて新開発したシアター・サプライ、“ミラフォニック・サ
 ウンドシステム”のステージ(ダイフォニック)用低域レシーヴァー・ユニットである。口径18インチ
 (45.72cm)の超弩級で『TA-4151-A』と同様、ジェンセン社がウェスタンの仕様書に則って製品化
 したものだ。まず、漆黒に塗られたマッシヴな外観を、とくとご覧いただきたい。巨大なキャストアイ
 アン製マグネット・ヨーク(フィールドコイル)、分厚いダイキャスト成型のバスケット(フレーム。高剛
 性のアルミニウム合金製)、そして見るからに強靭そうなコーン紙。いかにも大型なユニットだが、
 仔細に観察すればバランスを失したところは一点たりともなく、メカニズム的にも完成度はきわめて
 高い。これは間違いなく
「本物」だ、と鳴らす前から確信を持って言い切れる製品である。なるほど、
 本機ならは中・高域ユニット『594-A』の強烈なエネルギーを、存分にサポートできるはずである。
  ジェンセン社は当時、18インチのモデルだけでも、『M-18』(5kHzまでレスポンスを持つ、マルチ
 パーパスのスタンダード)、『L-18』(3kHz以上を急降下させたウーファー専用)、『V-18』(中・高域
 を張り出させ、声の伝達性を高めた)、『HF-18』(9kHzまで再生帯域が伸ばされたハイファイ型)
 の4ラインを持ちそれぞれA.C.型とD.C.型が用意されるため、計8タイプを擁する、大スピーカー・メ
 ーカーであった。しかし、ウェスタンの要求するスペックは、これらの製品をはるかに上まわる、きわ
 めて厳しいものだったのである。  驚くべきは、ギャップ部の磁束密度と加工精度を大幅に上げな
 ければならなかったことである。加えて、使用帯域は50〜300Hz(クロスオーヴァー周波数の300
 Hzは、当時としてひじょうに低い)。歪率は低く、耐入力は高く、それでいながらセンシティヴィティ
 はさらに高めなければならない。これらの条件はすべて、ジェンセン社の旧来の設計手法では実現
 不可能といってよかった。つまり、全くの新製品として素材の面から見直しながら迫られたのである。
 ベル・ラボの支援を仰がなければならなかったのは、いうまでもない。 こうして『TA-4181-A』は、
 従来の低域レシーヴァーをはるかに凌駕した特性を獲得、共振の分散を図った見事な設計の3種
 類のキャビティ(ショートホーン)付低域バッフルに搭載されて、登場した。 ヨークとポールピースは
 大幅に大型化、素材も一新して磁束密度が高められた。バスケットも新規設計されている。コーン
 紙はパルプの繊維が長く、スティフネスを高めるとともに軽量化を狙ったもの。 スパイダー(ダンパ
 ー)はコーン同様の紙製コルゲーション(これはジェンセン製も同じ。布製のものは低域は延びるが、
 歯切れは悪い)・タイプが用いられ、ヴォイスコイル・ボヴィンの強度は徹底的に高められた。
 サフィックス〔A〕が付されたモデルは更にギャップ部の磁束密度の上昇を図り、フィールドコイルの
 消費電力を増加させ(25Wから30W)、磁気回路をリファインし、1ポンド(0.45kg)であるが重量も増
 加している。 『TA-4181-A』は、バッフルとの組合せでも同様だが、中・高域のレシーヴァーの選
 択により、その表情が一変する。 『594-A』との組合せでは、締まっていてかつ押し出しのいい堂
 々とした音。音場感の描写も、これ以上のものはないとつくづく思わせる。一方、『555』との組合せ
 では、量感がたっぷりと出てきて、よく拡がるスケール感豊かな音になる。それにつけても、このユ
 ニットを存分に鳴らしきることのできる広大な空間が、どうしても欲しくなる。いやがうえにも煩悩を
 かき立てる製品である。『TA-4181-A』のスペックは、ヴォイスコイル・インピーダンスが11.7Ωー
 400Hz 、15Ωー1kHz。フィールドコイルはD.C.24V−1.0A、D.C.抵抗は24Ω。またフィールドコイ
 ル仕様の異なる『TA-4194-A』(D.C.10V-2.25A、D.C.抵抗=4.45Ω。本来はこのモデルが『555』
 と組み合わせるM-5システム用)がある。
 外形寸法が18インチ(45.72cm)の円形、奥行きが10インチ(25.4cm)、重量は48ポンド(21.74kg)。
 取付け孔径は16.25インチ(41.28cm)である。
 なお『TA-4185-A』(フィールドコイル規格がD.C.105〜125Vー230mA、D.C.抵抗=500Ω)は、
 口径こそ同じ18インチのモデルだが、むしろジェンセンのラインに近い製品である。

ステレオサウンドK.K.発行 WESTERN ELECTRIC SOUNDより}
モショグラフ、タンガーバルブー電源
リレック(LYREC)検聴用プレーヤー
イマン・カッターレース用モーター
歯車のような膨大な極数を備えた強力な多極低回転シンクロナス・モーター
電源の周波数が50Hzだと、78回転で77極、33 1/3回転だと、180極、言い換えるとスト
ロボの数だけ極力がある。
 1940年代のおわりころに、ヨーロッパでは、新しい勢力として、デンマークのフォノフィルム〔現在の
 オルトフォン)やドイツのノイマンなどがムービング・コイル型の性能のよい新しいカッティング・ヘッ
 ドをもって参入してきた。両者とも、カッティング・レースにLyrecの新しいシステムを採用していた。
 いずれも、それぞれ独自のシステムとしてリレックと共同開発したレースだが、オルトフォンのカッタ
 ー・レースに近い験聴用のプレーヤーである。 機械加工用のLATHE(旋盤)とよく似た構造なので
 Cutting Lathe(カッティング・レース)と呼び習わしている。 リレック社を初めとして、カッティング・
 レースは歯車のような膨大な極数を備えた強力な多極低回転数シンクロナス・モータを動力源とし
 ている。

 
エボナイト・ターンテーブル
アルミ・ターンテーブル
異種金属ターンテーブル、パウダーはスリップ用です
オリジナル・レコードの必需品
FM ACOUSTICS FM122 PHONO・EQUALIZER
 偏差が±0.09dB以内と高精度なRIAA補正や、初期のLPやSP盤のRIAAエンファシスカーブ
 適応以前のレコードに対して最適なディエンファンシスの行えるイコライジング機能を持つ。
 ★入力感度:0.12mV 
 ★入力インピーダンス:DIPスイッチと差し替え抵抗モジュールの組み合わせで設定
 ★ゲイン:56dB 
 ★寸法/重量:W245×H62×D290mm 2.2kg(本体)、1kg(電源)
 アクシス(サービスが良い)MM使用に変更、好きなトランスとを使ってMCを使っています。
オルトフォンRF309
Ortofon オルトフォンについて    (山中敬三氏著「オーディオ博品館より)
 魅力ある音のカートリッジとなると私の場合、どうしてもダイナミック型(MC型)のそれということにな
 ってしまう。これはモノーラルLPの昔から一貫して変わることのなかった信念で、長いオーディオと
 の係わり合いの年月の中で、それは確固たるものになっといえる。MC型の魅力を一言で述べるの
 はなかなか難しいが、ソースに対するプレーバック側としての反応の確かさにある。つまり聴き手の
 要求に対応して、ディスクに刻まれた音楽の内容を更に深く探りだせるような可能性が感じられ、
 同じマグネティックタイプのMM型やMI型が一般的な傾向として備える、品行方正でクールな対応
 振りとは、どこか一線を画する所があるように思えるのである。多少感情的といわれそうだが、こう
 したメンタルな心情はオーディオコンポーネントのあらゆる部分で常に問題となることであり、実は
 それこそがオーディオの楽しさの原点なのかも知れない。ご承知だとは思うがコイルを可動部分に
 持つMC型は、カートリッジの中でも構造がデリケートかつ複雑である。したがって優れて職人的な
 腕を持つエンジニアが試作的に手造りに近い形でいいカートリッジを開発することが可能な反面、
 製品として安定したものを造りあげるには精密工業としてのエンジニアリングと長い経験が要求され
 るわけで、これは現在に至るまでのMC型の歴史を辿ってみれば明らかとなる。
 カートリッジ・・・・というよりもディスクシステムの画新期、すなわちLPディスクの発明、ステレオディ
 スクの開発、そしてあまり成功はしなかったものの4チャンネルディスクの提案など、それぞれ重要
 と思われる各モーメントにおいて、開発試作運用の段階で必ずといってよいほどMC型のエックスペ
 リメンタルモデルがいち早く登場するのが常であった。そして逆に本命といわれる形でのMC型の発
 表は、多少時間が経ってからのことであり、これらがすべてを物語っているといえよう。
 いずれにせよMC型のプレステージは何時の時代にも高かったことは事実であり、そしてそのMC型
 のプレステージを高める主役を常に務めてきたのがオルトフォンのカートリッジなのである。 デンマ
 ークのオルトフォン社は音響専門メーカーとして長い歴史をもち、特にディスクレコーディング・シス
 テムに深い関わりをもち続けてきた会社である。本来ディスク・カッターレースのテストプレイバック
 用として開発を続けてきた、完全にプロフェッショナル向けといえる同社のカートリッジが、一般コン
 シューマーを対象とした主力製品に成長したのは、ディスクの製作サイドと密着したカートリッジとし
 て、その技術的な蓄積が大きくものをいったのであろう。しかもその伝統ある技術キャリアーは常に
 MC型によって築かれてきたものなのである。SP時代から同社は、優れたMC型カートリッジを開発
 しており、中でもLPの初期に登場したCG25やCG65(SP用)は現在に至るまでその原型をほとんど
 変えずに生産が続けられてきている。しかしなんといってもオルトフォンの名を不滅にしたのは、
 ステレオLP時代初期に発表したSPUモデルであり、これは私自身にとってもとりわけ重要なコンポ
 ーネントとなったのである。
オルトフォンRK309
systemI ウェスタン・エレクトリック
 WE24Aホーン+WE594+ELTAS4181×2を鳴らす
 
WE24Aホーン{1938}+WE594+ELTAS 4181×2←WE86Cアンプ
Western Electric ダイフォニック・システム
Western Electric
WE24Aホー
DESCRIPTION-FLAT FACED,12 CELL3×4、HOR. COVERAGE-UP TO 70 DEGREES
VERT. COVERAGE- 40 DEGREES、WEIGHT-41 POUNDS
FREQUENCY RANGE-300-8000 CYC./SEC
1936
Western Electric
WE594
19A RECEIVER ATTACHMENT
Western Electric 24-A Horn
 ステージ用ラミネートメタル製12セル、フラットフェイス型ホーンで594-A用。ミラフォニック・サウンド
 ・システムの高域に使われたが、555レシーヴァーが使用された例(24-B)もある。カヴァレッジ・ア
 ングルは70度以内。レシーヴァー・アタッチメントは3種あり、19-Aが594-A×1基、19-Bが594-A
 ×2基、19-Cが555×1基用である。外形寸法は開口部で全幅35インチ(88.9cm)、全高26インチ
 (66.0cm)、奥行27インチ(68.6cm・595-A×1基装着時)、28.13インチ(71.5cm・2基装着時)、
 35.75インチ(90.8cm・555×1基装着時)、重量41ポンド(18.6kg・594-A装着時)、
 35ポンド(15.9kg・同555装着時)
モノカートリッジ群
オルトフォン モノーラル時代のカートリッジについて
 このシリーズのカートリッジは、1946年に開発されたオルトフォン最初のラッカー円盤録音用のMC
 型カッター・ヘッドによる録音盤視聴用として、1948年に開発されたMC型モノーラル・カートリッジ
 にその源を発しているらしい。 この円盤録音システムは、その後LYREC型のレースと組み合わさ
 れて、世界でも有数のシステムに成長し、ノイマン、ウェストレックスとともに幾多の名録音盤を生
 み出すことになる。 〔フォノ・カートリッジ大全より〕
 1948年ホルガー・クリスティアン・アレンツェンが、当時のカッターヘッドに匹敵する高いクオリティ
 を備えたSP盤/LP盤/ラッカーディスク再生用モノーラルMC型ピックアップ(カートリッジ)を開発。
 このカートリッジは、スタンダードタイプのType A、ブロードキャスティングタイプのType B、スペシ
 ャルタイプのType Cの3タイプあり、基本構造は同じ(インピーダンス2Ω、自重30gr)だが、振動
 系の実効質量がType A:4mg(針圧7〜15gr)、Type B:3mg(同5〜15gr)、Type C:1.5mg(
 同3〜10gr)と異なる。また、それぞれ針先半径の違いにより、白(95μm)、灰(85μm)、
 紫(75μm)、青(65μm)、緑(45μm)、黄(45μm)、赤(25μm)の8色にマーキングスポットが
 色分けされていた。後に、Type AとType Cの2タイプとなり、Gシェル付き(Type AG、Type CG)
 もこのシリーズに加わる。モノラール用カートリッジとして長期にわたり(1989年まで)発売されてい 
 たCA25D、CG25D、CA65D、CG65Dは、このType Cの発展型で、それぞれAシェル付き、Gシェ
 ル付き、数字は針先半径を示す。この頃からブランド名として「オルトフォン」の名を使い始める。
 ギリシャ語のorto=正確な、正しい、という単語と、fon=音、という単語を合成したものである。  
 (SS誌 オルトフォンのすべて)

 
Ortofon A型の構造
 内部の構造はA型、C型ともにまったく同じで、空芯のMovingCoil(MC)型である。カタログによる
 と再生周波数範囲は20〜14,000Hzで、通常の家庭用としては十分といえる。コイルは0.05mm直
 径の線が40回ほど巻いてあり、プッシュプル動作する構造が採用されている。磁気回路は左右に
 6×10×13の大きなアルニコ系磁石が配置され、この両端に跨る理想的な構造の磁気回路で、
 強力な磁場をコイルの周辺に作り出し、1,000Hz、5cm/secの標準的な速度振幅の録音で2.5mV
 の出力を得ることができる。スタイラス・チップは、LP用として1mil(25μm)、SP用としては2.6mil
 (65μm)の先端球面半径をもつダイアモンド製チップが取り付けられている。カンチレバーは厚さ
 0.1mmの薄いベリリウム銅の板で作られていて、レコード盤面に対して垂直方向に軟らかく動いて、
 ピンチ効果等によるひずみを軽減し、水平方向に対しては高い剛性を保ちつつ、音溝に刻まれた
 音楽信号を忠実に発電コイルに伝えている。コイルは中心を貫く燐青銅の細いシャフトに固く装着
 されていて、このアーマチュアと呼ばれるシャフトはさらに上端下端をゴムのチューブを介してポー
 ル・ピースに、回転が可能な状態で取り付けられている。このアーマチュアのレコード盤面側には、
 カンチレバーが装着されて振動系全体を構成してtる。コイルからの後部の端子板までの細いリー
 ド線は、カートリッジのプラスチックのハウジングに作られた溝の中に固着されて、振動による鳴き
 を防いでいる。カートリッジのボディは、材料はくわしくわからないが、透明で、切り口が薄青紫色の、
 アセテート樹脂ではないかと思われるもので、内部がよく眺められる美しいカートリッジである。
 このA型は割りに早く製造中止して、C型に整理統一されたようである。
               アイエー出版 海老沢 徹氏著「フォノ・カートリッジ大全」より
オルトフォン Cシェル 楕円針 LPレコード用
オルトフォン Cシェル LPレコード用
オルトフォン Cシェル LPレコード用
ESL(アメリカ仕様) Cシェル LPレコード用
オルトフォン  Cシェル LPレコード用
オルトフォン  Cシェル LPレコード用
オルトフォン  Cシェル LPレコード用
Ortofon C型の構造
 
C型は、プロフェッショナル用として開発製造されたカートリッジで、外観はA型とまったく同じである。
 唯一異なる点は、振動系、それもカンチレバーが小さくなっている。不平衡でごく細長い小さなカン
 チレバーになっている。実効質量も1mgと小さくなり、したがって針圧も3grと、ほとんど現在のMC
 型ステレオカートリッジと変わらない。再生周波数帯域もさらに広くなり、20〜20,00Hzとプロフェッ
 ショナル用として十分な性能を備えている。

                      アイエー出版 海老沢 徹氏著「フォノ・カートリッジ大全」より
オルトフォン Cシェル LPレコード用
EMT LPレコード用
EMT OFD-25について
 放送局、レコード会社などのスタジオ用のプロフェッショナル機器の製造メーカーとして有名な、
 Elektromesstechnik Wilhelm Fran K.G.社はEMTブランド名でよく知られている。このEMTには、
 R-80 、927シリーズ、930シリーズ、928,948,950などのスタジオ用ターン・テーブル・デッキがある。
 これらのデッキには、RF-297、RMA-297、997、RMA-229、929などの各モデルのトーン・アーム
 が年代を追って装備されている。そしてこの全モデルに共通して使用できるSP用、モノーラルLP用、
 ステレオ用の、ヘッド・シェルと一体構造のカートリッジが用意されている。この初期デッキでは、
 オルトフォン社のA型のカートリッジを使用していた時代もあったようであるが、モノーラル用として
 のモデルには次の種類がある。OFS-25/OFD-25/TMD-25(モノーラル・マイクログループ、
 25μmr)OFS-65/OFD-65/TND-65(モノーラル・スタンダード・グルーブ65μmr)1948年EMT
 が最初のデッキであるR-80型を発表しオルトフォンのカートリッジが装備されていた。
 この後にEMTのデッキに装備されたカートリッジがOFS、OFDのシリーズである。EMTとオルトフォ
 ンとが共同開発したカートリッジをオルトフォンで製造し、EMT-Ortofon Dynamic Systemとして
 EMTに供給していたようである。
 角型ルーペのモデルでオルトフォンCA型のユニットとほとんど同一の構造である。ただし振動系子、
 とくにカンチレバーはCA型より小型軽量になっていることがうかがえる。

                          アイエー出版 海老沢 徹氏著「フォノ・カートリッジ大全」より
EMT OFD-25 LPレコード用
オルトフォン Bシェル LPレコード用
オルトフォン  Bシェル LPレコード用
オルトフォン Bシェル LPレコード用
オルトフォン Bシェル SPレコード用
オルトフォン Bシェル ステレオ針付きモノ用
EMT Ortofon Bシェル ラッパ録音SP用
オルトフォン Cシェル SPレコード用
EMT オルトフォン ラッパ吹き込みSP用
オーディオファブ製紫檀シェルに付けたオルトフォンステレオLP用
Audio Fab Prodacts オーディオファブ PMD-25
 ●形式:MC ●出力電圧:0.1〜0.7mV ●出力インピーダンス:0.5〜26Ω 
 ●周波数特性:特性表付
 ●コンプライアンス:3×10ー6〜10×10−6cm/dyne ●針圧:2.5〜3.5g ●自重:14〜35g
 ●完全オーダーメイド
オーディオファブ モノーラルLP用
全部音が違います。購入時は試聴してからに!
蓄音機を聴く
藤田嗣治画伯リトグラフ
systemJ HMV203 蓄音機 {1926年}
 蓄音機の音は衝撃を与えます。古めかしい音を想像するのは間違い。実に生々しい音です。
 有名な池田圭さんが「蓄音機の音を聴いて懐かしいと言うのは昔聞いた人が言う言葉だ」と言って
 いました。
 池田圭さんが奥様と来宅した時、鉄針でSPレコードを聴いていただき「贅沢なもてなし」とのお言
 葉を頂きました。
HMV 203
 1928年頃、英国製。英国グラモフォン社の最高級機。#163から始まるリ・エントラント式ホーンを
 採用したモデルのなかではもっとも大型。 オーク仕上げの#202とマホガニー仕上げの#203
 がある。 金属部分は#202が銀メッキ仕上げ、#203が金メッキ仕上げ。
 サウンドボックスはNo.5a、モーターは4丁ゼンマイ・タイプでたいへんトルクがあり静粛なオイル
 バス・タイプ。

 外形寸法:73Wx59Dx126Hcm、金属製のリエントラント・ホーンの開口部は580×760mm
  1022年〜28年に、たった100台前後が作られた。
HMV 203のことでSP界の長老 “辻 弥兵衛”さんが 季刊 「SPレコード &〜LP・CD」No.12
 (1992年2月20日)で話題が出ていますので転記します。

八百粁を遠しとせず  
SPレコード礼讃 辻 弥兵衛
《何でも古いものがよいと云っているのではない》 
 今や世をあげて“CD時代”と云ってよい風潮の中でSPレコードのよさを、アレコレあげてみても、
 所詮、一部のディレタントというか、骨董趣味に過ぎないと思われる向きも多いと思う。又、実際自
 分でレコードの溝に針をおとす時の緊張感は、何物にも較べられない満足だというLPファンも多い。
 さらにSPレコードの場合は、ゼンマイを自分の手で巻くことの満足感もよく話題になる。その時の
 シャーという針音すら全然気にならないという人達も結構いるのだ。 
 それらのことは個人の価値観の問題であり、好き嫌いの問題として、それはそれでよいのだが、
 私達は何でも古いものがよいと云っているのではない。少なくとも、弦楽器(チェロとヴァイオリンな
 ど)と歌曲(男性、女性とも)に関する限り、LPや、CDよりもSPの方が私どもに強い感銘を与えて
 くれるのだ。勿論、好き、嫌いもあると思うけれど、このことは多くの方々が認めるところだ。
《聴けば聴くほどよい音を出してくれる》
 なんのタネも仕掛けもないキャビネットの中に入っている長さ2m弱の金属製のラッパ(亜鉛メッキ)
 から、私どもの心を打つ、カザルスやのチェロの音や、カルーソーの声がどうして出てくるのか、
 音響工学の専門家に聞いてもよく判らない。 私が現在使っている英、H.M.V.アップライトグランデ
 202型(オーク材)、203型(マホガニー材)は聴けば聴くほどよい音を出してくれるのだ。
 発売された当時(1920〜30)は、マホガニー材を使用している203型の方が高価な上位機種だっ
 たようだ。しかし私が使用しているもので比較してみると、202型の方がよい音をだしてくれるよう
 に思えるのだ。 又、英、H.M.V.社から当時の英国王(ジョージ5世)されたに献上された特物製の
 203型と同型機(H.M.V.社に保管されていたもの)が放出されることになり、曲折を経て日本の某
 氏の手に入った。一、二年前、東京・S社の企画されたSPコンサートで試聴することができた。
 しかし、その特別製の203型は、私の期待したほどの音は出してくれなかったように思った。 
 つまりその203型は殆ど使用されていないものではなかったか。私の手元にある203型も輸入され
 た後、少なくとも何人かの手を経ていることと思われるが、202型よりも使用された時間がかなり
 短いのではないかと思われる。 つまり202型の方がよく聴きこまれているということではないかと
 思う。 さらに同じように音に共振するとしても、オーク材とマホガニー材とでは、微妙な差異があ
 るようだ。同じ木材でも材質が違えば、出てくる音も違うのは当然だと思われる。 
 (中略)
 それにしても今日なお、復刻版と称して、まるで豆腐の“おから”のように味も素っ気も無いCDを次
 から次へと臆面もなく売りつけるレコード会社というのは、どんな神経をしているのだろうか。 
 それでいて、LPも製造中止、あれだけ多数のLPレコードをファン買せておきながら、針も作らない
 というのは少し勝ってすごませんかね。
 ヨーロッパでは現在もなおLPもカセットテープも、勿論針も依然として製造は続けられており、ファ
 ンは自分の好みによって音源をチョイスするという本来の姿のままであるらしい。 文化を大切に
 するとは、こういうことなのであろう。
クレデンザと英HMYの蓄音機
 
ホーン・スピーカも高・中・低域と分けて作れば、設計・製作ともに楽である。けれども一本のホー
 ンで高域をロスらせないで、低域まで出そうとすると難しくなる。昔の蓄音機は構造上ホーン用ド
 ライバー・ユニットに相当するサウンド・ボックスを2個も3個も使うわけにはいかなかったから大変
 であった。レコードの温溝を針先でたどりその振動で振動板を振動させる。それがホーンから出る
 エネルギー源の全てである(別にアンプなどを使って増幅拡大するわけではないから)。ホーン内
 部ででき得る限り音量をロスらせないことも大切な条件であった。というわけで、昔の蓄音機、とい
 っても1925(大正14)年に電気吹込が始まって以来のエキスポネンシャルの理論を応用した。
 いわゆる新型機のホーンはよく出来ている。特に、ベル研究所で設計し米ヴィクタァで製作したク
 レデンザとか、それに更に工夫を加えた英グラモフォンの相当器のホーンは見事なものである。
 そして都合のいいことにホーン(蓄音機ではトーン・アームを含む)の喉口がウエスタン・エレクトリ
 ックのホーンと同様18mm強で同一であるから、555型ユニット(ウエスタン・エレクトリックでは
 Recieverと呼ぶ)を用いて鳴らすことが出来る。クレデンザに限らず米ヴィクタァのオルソフォニッ
 ク・ヴィクトロラ、英グラモフォンの新型機はポータブルに至るまで同一であるから、ドライバー用の
 アタxチチメントを作ればよい。アルテックやジム・ランシングのユニットのように喉口が25mmのも
 のも、ちょっと工夫すれば組み合わせることができる。上図で英グラモフォンのホーンとヴィクター
 のクレデンザのホーンを掲げる。
 このクレデンザのホーンは機械・電気両用型8-60号の透視図でる。英グラモフォンのホーンは
 HMV-202型の透視図で、これまで鉄板製と思われていたが、この機械の愛蔵家であり、自作蓄
 音機で有名な加藤玄生氏によって、銅版製であることが明らかにされた。ノン・レゾナント・メタル
 であるとか鉄とアルミに合金であるとか諸説紛々であった謎がとけ、大変な朗報であった。 
  池田圭著 (盤塵集より)

 
HMV203仕上げレコードケース
 銀座シェルマンのオークションで落札。納品後HMV203仕様と知りました。
systemK EMG−MkZ {1945年頃}
EMGーMkZ
 電気再生が主流の頃機械式再生が最高と考えたE..M.ジンの手作りで、同じ物が2台と無いと言わ
 れていますガラードのモーターが付いています。トルクが強く瞬時に78回転になります
キースモンク レコードクリーナー
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